泣いて馬謖を斬る

「三国志」の中で蜀の有能な武将の馬謖が軍のルールを破ってしまい、諸葛亮に処刑
されてしまうという話です。

諸葛亮は非常に有能な武将を失うのは惜しいと思い悩むのであるが、ルールを破った
者を甘い処分にしてしまうと他の者への示しがつかないと涙を流しながらも処刑に踏み
切ります。

諸葛亮は全体の規律を守るために苦しい決断をしなければなりませんでした。

先日、こんなことがありました。

私たちの会社に長年勤めている職人さんが社内のルールを破ってしまいました。

指定された場所以外は禁煙というルールを破り、作業場でたばこを吸っていました。

本人はごく軽い気持ちで「すみません、次回から気を付けます。」ということで済むと思
っていたのでしょう。

私たちの製造スタッフは「三度目の注意である」 「社内ルールの守れない人とは信頼
関係を持って仕事ができない」という理由でやめてもらうことを進言してきました。

慢性的な職人さん不足の中で職人さんにやめてもらうことは痛手ではあるけれど、あ
えて規律を重んじることを優先させた製造スタッフの勇気ある決断を支持し、その職人
さんにはやめてもらうことになりました。

その後、その職人さんの穴を埋めるのは大変ですが、製造スタッフと他の職人さんの
中で規律を守ることの重要性が広く浸透していっているのをみると、この決断は正しか
ったと思います。

ほんの少しだけ、諸葛亮の気持ちがわかったような気がします。

東奔西走

先週は、出張続きの毎日でした。

月曜日から広島、東京、大阪、札幌、大阪、東京、大阪とまさしく東奔西走の一週間でし
た。

内容は弊社の展示会をはじめ得意先や資材の展示会、面接、商談、セミナー等で、どうし
ても私が行かなければならなかったので、このようなタイトなスケジュールになってしまい
ました。

周りの人は、あまりのハードスケジュールに私の体調を心配していますが、本人はけっこ
う元気に楽しみながら出張しています。

飛行機、鉄道、バスを乗り継いで目的地に着く旅は様々な発見があり、興味深いものが
あります。

乗り物の窓から外をぼんやりとながめるのはけっこう好きです。

山の木々の色の映り変わりや田んぼや畑の様子、点在する集落などをみるにつけ、そこ
の自然と調和して暮らす人々の生活や営みを想像したりします。

過疎化はどのくらい進んでいるのだろうか、子供たちはどのくらい遠くの学校に行くのか、
買物はどうするのか、靴はどこで買うのだろうかと想像は尽きないのですが、答えを求め
るようなものでもないのでたいていは想像して終わりです。

しかし、たまに遠方からわざわざ私達の靴を買いに来ていただいたお客様に出会うと、出
張先の車窓の風景がよみがえってきます。

私達の靴がいろいろな季節の中で、様々な暮らしにとけ込んで活躍できればいいなと思っ
ています。

靴屋らしい顔

先日、ある地方のデパートの売場を訪問した時の話です。

その日の午後2時ごろに伺うと言っていたので、売場の方も待機されていたと思います。

ちょうど2時ぐらいに行ったところ、売場で大きく手を振っている女性がいました。

遠かったのでどなたか少しわからなかったのですが、私の後ろには誰もいなかったので
私に手を振っているのは間違いありませんでした。

いろいろとお世話になっている売場の方だろうと思い、ニコニコして寄っていくと、その方
が言いました。

「保険屋さんですよね。」

「えっ・・・ちがいますけど・・・」

「あれっ、保険屋さんじゃないの・・・」とがっくりされていました。

その様子をみていた売場の方が「この方は靴屋の社長さんです。」と助け舟を出してくれ
ました。するとその方は

「保険屋さんのような顔して来るから間違っちゃったわよ。やーねー。」

「すいません・・・」

なぜ謝っているのか、わからないままその場を去りました。

聞くと、その方はお客様で2時に保険屋さんと靴売場で待ち合わせをしていたらしく、靴を
買いながら保険屋さんを探していたそうです。

そこへ私がニコニコと保険屋さんらしい顔で(?)やって来た次第です。

しばらくすると年配の本物の保険屋のオジサンがやって来て、その女性と話し始めました。

どのような顔が保険屋さんらしいかわかりませんが、次回売場を訪問する時は、靴屋らし
い顔で訪問したいと思います。

社員旅行

先日、社員旅行に行ってきました。行き先は岡山県の瀬戸大橋の近くにある鷲羽山
です。

以前はよく社員旅行に行っていたのですが、諸般の事情で最近は行かない年が多か
ったので久しぶりでした。

近年、私たちの会社も新しい人が多く入ってきていますので、初めて参加という人も多
かったです。

社員旅行は寝食を共にするので、生活様式やモノの価値観が現れるので興味深いで
す。

普段通りに生活しているつもりでも人から見ると変に映ったり意外だったりするものです。

多分、私自身も周りから意外な面が発見されているかも知れません。

一泊二日の短い旅ではありましたが、同じ会社の仲間たちと共に時間を過ごせて大変
楽しかったです。社員同士も普段よりも濃いコミュニケーションがとれてよかったと思い
ます。(笑)

最近の日本の会社は、会社内での旅行や飲み会などの社内イベントが減って、社内コ
ミュニケーション不足による不協和音が多いと聞きます。

私たちはできるだけ社内コミュニケーションを円滑にし、他事業部のことを理解し、協力
し合える組織作りを目指しています。

その第一歩は、人と人とがふれ合い、理解し合うことから始まると思います。

いくら文明が発達しても機械やコンピューターが仕事をするのではありません。

それらを操作する人が仕事をするのです。

その原点である人と人とのつながりが会社にとって一番重要なポイントだと思います。

省エネ消費

日本は今年、いつもより暑い夏を迎えることになりそうです。

浜岡原発の停止を受けて節電意識は全国に浸透し始めました。

私たちの会社も15%の節電を実行すべく省エネ、クールビズを実施することに致しまし
た。

エアコン温度が高めに設定されるので、快適でかつ機能的に仕事ができる服装を選ば
ねばならないと思っています。

震災以降、消費動向の変化が著しいです。

例えばエアコンは低価格タイプではなく、省エネ性能の高い20万円前後のタイプがよく
売れ、扇風機は例年の倍以上売れています。

その他、冷蔵庫の開閉時に外気が外部に漏れるのを防ぐ「冷蔵庫カーテン」や外気の
熱を遮断するためのガラス用フィルム、屋根用塗料等が売れているようです。

又、百貨店やスーパーでは品ぞろえの多い都心店や大型店ではなく、自宅近くのお店
で買い物を済ませる消費者が増えているようです。

できるだけ節電に貢献したい、電車、自動車、バスなどを使わずに買い物がしたいとい
う欲求が高まっているようです。

このように従来のものさしでは計れない消費スタイルが生まれつつあります。

こだわりはござるか?

わたしたちは、毎年シーズンごとにバイヤー様向けの展示会を全国で開催致します。

靴の場合は、春物と秋物の新作発表が多いので、春物新作展と秋物新作展には多数
のお客様がお見えになります。

今回は、4月20日より5月27日まで東京を皮切りに福岡、札幌、再び東京、そして大阪と
5回の展示会を開催致しました。

ゴールドファイルの紳士靴が初登場しましたので、テーマは「夫婦でサロンドグレー」とし
ました。ご主人様にもサロンドグレーのはきごこちを実感してもらいたいという思いでつけ
ました。

おかげ様で全国各地で多数のお客様がご来場下さり、展示会は大変盛況なものとなり
ました。

1ヶ月以上にわたる展示会期間の最終日(5月27日)に思いもかけない出来事が起こり
ました。

その日も多数のお客様がお越し下さり、工場内の製造工程など見学される方も多かった
です。

東京からはじめて大阪に来ていただいたお客様との商談の席で「商品のどのようなとこ
ろにこだわりはございますか?」と言おうとしたところ、「商品のどのようなところにこだわ
りはござるか?」と言ってしまったのです。

一瞬の間のあと、大爆笑でした。

少し固かった商談の雰囲気が一気になごみました。

「いつの時代の人やねん!」と自分自身でつっこみながらも、とても恥ずかしかったです。

そんなこんなで笑いのうちに終わった展示会でいただいた秋物受注分は、9月には店頭
に並びますので楽しみにして下さい。

こんな時こそ

「こんな時こそ、経済を回すためにも買わないとね!」と言って靴を買ってくれた人がい
ました。

本当に涙が出るほど、うれしかったです。

過度な自粛は経済全体を縮小させてしまいます。だから普段どうりの生活に戻れる人
は普段どうりに戻った方がいいのではないかと思います。

特に西日本の人たちは被害が少ないので、普段どうりの経済活動をすることが長期的
には支援につながるような気がします。

先日、東京方面へ出張してきました。

聞いていたとうり街全体が節電モードで照明が暗く、エスカレーターが停止していまし
た。はじめは少しとまどいましたが、街の人々は当たり前のようにそれを受け入れ、順
応していました。

そのことに私は感銘しました。

被災された人たちのことを考え、共に痛みを分かち合おうとする気持ちが伝わってきた
からです。

停電中にろうそく1本の部屋に集まり家族の会話が増えたことや、階段を使うことによ
り運動不足が解消されたことなど、思いがけない産物もいろいろあるようです。

便利なモノに慣れすぎてしまっていた世の中で、何が必要で何が無駄なモノかが、わ
かってきたような気がします。

「節電中にて支援中」

東京の居酒屋のドアにはってあったこの張り紙が、一番状況を表していると思いました。

カズのゴール

先日、東日本大震災の復興支援を目的としたサッカーのチャリティマッチが行われま
した。日本代表対Jリーグ選抜という形で行われ、本田選手や長友選手など海外で
活躍している選手も多数駆けつけ、大いに盛り上がりました。

その中でJリーグ選抜のカズこと三浦知良選手が劇的なゴールを上げたことは大き
な感動を呼んでいます。

最近はJリーグでの出番も少なく、活躍する機会があまりないカズが日本中が注目
する試合でJリーグ選抜唯一の得点を上げたことは誰もが「(強運を)持ってる」選手で
あると思ったことでしょう。

しかし、カズの試合後のコメントにはもっと感動致しました。要約すると以下のとうり
です。

「持ってると言われるのは好きではない。ゴールは簡単なゴールではなかったが、チ
ャンスに実力が出せれてよかった。日々の努力や練習の成果が一瞬のチャンスをつ
かむことができた。」

常に年齢の壁に悩みながらも努力を積み重ねてきたカズ

努力に裏打ちされた実力者に一瞬訪れる好機 

それをものに出来るか出来ないかには大きな違いがあります。

イチローの栄光に日々の努力があるように神様は真の実力者のみに一瞬のチャン
スを与え、それをつかんだ者のみが栄光を勝ち取るのでしょう。

運のみではい上がった人はそれほど長続きしないでしょう。

カズが「持っている」と言われるのがあまり好きではない理由が、少しわかったような
気がしました。

ゴールドファイルの紳士靴

ゴールドファイルは1856年にドイツで生まれたブランドです。

最初は最高級のパースと札入れを製造する小さな工房としてスタートしました。

やがて紳士用、婦人用のバッグを展開するようになり、最高級の素材と職人芸から生み
出される革製品は評判を呼び、貴族階級から数多くの注文を受け、瞬く間にヨーロッパ全
土にその名をとどろかせました。

そしてこの度、ゴールドファイルが守り抜いている「職人がひとつひとつ丁寧に作る」という
理念を継承して、弊社がメンズシューズをライセンス契約で作ることになりました。

ゴールドファイルを知っている人はシンボルカラーであるワインになじみがあると思います。

その深みのある独特なワインは、時間をかけて染められたワインの革にクロの染料をつ
けてはふきとるという作業をくり返して出来上がります。

ドイツで長く愛されているゴールドファイルのシンボルカラーである「ワイン」が日本の職人
の手に継承され、柔らかなはき心地のメンズシューズとして登場致します。

このワインカラーは、クロ系でも茶系でもどちらのコーディネイトにも合わせやすいカラーに
なっています。

まずは弊社の直営店での展開となりますので、興味のある方は是非お立ち寄り下さい。

国際宝飾展

1月26日から29日まで東京ビックサイトで開かれた国際宝飾展という展示会に初めて
出展致しました。

この国際宝飾展は今年で22回目を迎え、世界35ヶ国 1,300社以上の企業が出展し、
商品の買付け、仕入れ、商談を目的としたもので、今年の来場者数は35,000人を超
える人たちが来られたそうです。

私たちがなぜ異業種である国際宝飾展に出展したかといいますと「新規開拓」という
今年の社内方針にのっとり、新たなお客様との出会いをするためでした。

結果は大成功だったと思います。

宝石業界の方はもちろんのことバッグ業界、呉服、じゅうたん、高級家具等を取り扱っ
ている方々と交流を持つことができました。

皆さん一様に靴に対しての興味が高く、特に今回特別出展したスワロフスキーの靴に
関心を持たれていたようでした。

地方で小売業をされている方は優良な顧客を多数抱え、靴のニーズはものすごく高く、
私たちの靴は間違いなく売れると太鼓判を押してくれる人も多数いらっしゃいました。

ただ異業種ということで商習慣が違うこともあり、クリアしていかなければならない問題
はあると思いますが、どうすればできるのかという視点をもって臨めば解決できると確
信しています。

凝り固まった固定観念を打ち破るには、まずチャレンジすることではないかと思います。

そして可能性を見いだし再度チャレンジをし、失敗から学ぶことが成功への道ではない
かとこの展示会を経験して思いました。