大阪のなんばにあった新歌舞伎座が上本町に移転し、新装開場されました。
新劇場は総席数1453席で、廻り舞台をはじめとした最新の設備を備えており、演
者と観客の距離が近い臨場感あふれる空間を創り出しています。
このたび、こけら落とし公演である二十一世紀歌舞伎組を観てまいりました。
ちなみにこけら落としとは、新しく建てられた劇場で初めて行われる催しのことです。
こけらとは木片のことで、工事の最後に木片を払いおとすことからそのような名前に
なったようです。
二十一世紀歌舞伎組は、スーパー歌舞伎で有名な市川猿之助が総監修を努める
一座で右近、笑也等、実力者ぞろいです。その演目はどれも期待通りのすばらしい
ものでした。
私はそれほど歌舞伎通ではないので、場内で借りたイヤホンガイドがとても役に立
ちました。歌舞伎を観ている間中、ストーリー展開から衣装、三味線等の解説をそっ
と絶妙のタイミングで教えてくれるのです。
まるで歌舞伎通の人といっしょに観ているような楽しさでした。
特に演者の衣装や持ち物の世話をする後見と呼ばれる人たちの立ち居振る舞いは、
その所作に無駄がなく見事なものでした。まさしく役をわきまえているといった感じで
した。
その後見といった役まわりも、イヤホンガイドがなければほとんど気にも留めなかっ
たでしょう。
物事を深く観る、深く知ることによって新しい発見があるのだということをあらためて
感じたこけら落とし公演でした。