身体感覚

ある理系の方は、食事をとる時に栄養バランスだけを考えてタンパク質、炭水化物、ビタミン食物繊維、カロリーをチェックしてメニューを選んでいるそうです。

今日何が食べたいという欲求はゼロだそうです。

焼肉、トンカツ、ラーメン、ギョーザ等のメニューには興味がなく、食物に含まれている栄養に関心があり、適正かどうかに選択のポイントがあるのです。

何に興味があり何に関心があるかは人それぞれの自由ではありますが、今日自分は何が食べたいかがわからないというのは少し変な気がします。

自分の内側に対する気づきである身体感覚が疎かになっているのではないかと思います。

身体感覚が希薄になると健康を維持するために身体が発しているサインを見落してしまいます。

長時間のパソコンやスマホ操作のあとで眼や肩こりに気づくことがありますが、操作中は気づきません。

その間、身体にむける心のベクトルを失っているのです。

今、自分の身体が何を求めているかに気づくには、ほんの少しの間、外からの情報を断ち内なる自分に意識を向けることから始められるのではないかと思います。

音楽家ではありません

先日、佐渡裕さんが指揮するオーケストラコンサートに行ってきました。

佐渡裕さんの恩師であるバーンスタイン氏の生誕100年を記念して、ウィーンのトーンキュンストラー管弦楽団を率いての日本ツアーです。

佐渡裕さんは年末恒例の1万人の第九や「題名のない音楽会」というTV番組で有名ですが、私自身生で聴くのは初めてでした。

佐渡さんの情熱的な指揮はすばらしく、強い音や弱い音を自在に操り、激しい雷雨や牧歌的な田園風景を思い起こさせる見事な演奏会でありました。

同じオーケストラでも指揮者によって全く違うといわれますが、指揮者の力量は演奏者の能力をいかに引き出せるかで決まると思います。

その点、2015年からトーンキュンストラー管弦楽団の首席指揮者を務めている佐渡さんは楽団の良さを最大限引き出しているのだと思います。

実はコンサートホールに入る前にこんな事がありました。

私の少しうしろで2人の女性がささやくのが聞こえました。

「ほら、前の人、有名な人とちゃう?」

「ほんまや、名前が出てこないけどそうやわ。」

「違います。私はその人ではありません。」と私は心の中で叫びました。

白髪まじりの長髪の風貌からなのか、時折、音楽家と間違われることがあるのです。

幸い、声をかけられることもなく事なきを得ましたが、もし次回同じような事があればどう対応しようかと悩むところです。

一万円選書

北海道砂川市にある、いわた書店の一万円選書。

年に数回ホームページで募集し、店主の岩田さんがその人のために厳選した本を届けるというサービスです。

約3000人待ちという大人気のこのサービス。当選した人はカルテを記入します。

その内容は年令、家族構成、心に残った20冊の本、今までの人生でうれしかったこと、苦しかったことなど様々な質問があります。

応募する方は人生に悩みをかかえている人が多く、カルテを書くことによって悩みと向き合い、自らを客観視するようになるそうです。

そのカルテをみて店主の岩田さんが永年の読書歴からその人の今に必要な本を一万円分選んでくれるのです。

岩田さんのセレクトはベストセラーやハウツーものはありません。

あまりみたことのないタイトルも多いので、自分ではまず選ばないだろうというセレクションになります。

その中で岩田さんがおすすめしているのが「逝きし世の面影」 という本。幕末から明治にかけて訪れた外国人の記録なのですが、私たちの知らない日本人像が率直に描かれているそうです。

悩める多くの人の心に響いている一万円選書は岩田さんの「本は人生の味方だ」 という思いにあふれています。

AI 対人間

AI対人間の対決というテレビ番組をみました。

タクシー、ファッション、俳句というジャンルでの対決でしたが、結果は三つとも人間の勝利。

しかしその差は僅差でした。ビックデータを読み込み安定した答えを出すAIに対し、人間は意表をつくひねりを加えて勝利しました。

AIの課題はいかに殻を破るかということでした。

裁判の世界でもAIの導入が進んでいます。

過去の判例や大量の法令を読み込んで、ある程度の相場の判決を導くことはAIの得意とする分野です。

しかし、全ての裁判が必ずしも判決という形で決着するわけではありません。

むしろ現実的には、民事裁判は和解で終わるケースが多いのです。

判決では往々にして納得できないという問題が起こりますが、その点和解は納得性が高く、当事者双方が感情的にスッキリするのだそうです。

その和解のキモが「裁判官の絶妙なさじ加減」なのです。

双方の事情をじっくりと聞き和解案を作り、説得するということは人間にしかできないのではないかと思います。