無人店

中国のオフィス街にある中華ファストフード店。この店は昼どきになると周辺で働いている人たちでごった返していました。

しかし、ある時から混雑はなくなりました。そしてそこには店員の姿が見当たらず、無人店になったのです。

お客さんはスマホで料理を注文し支払います。5分ほどするとロッカーの並ぶ場所へ向かい、お客さんが再びスマホを操作するとロッカーの扉が開き、料理が出て来るというしくみです。

効率化でお客さんの滞在時間が短縮され、売り上げは4割もアップしたといいます。

この店は人件費削減と売り上げアップを成し遂げました。

中国では従業員に対して良いサービスを期待しておらず、無人の方が不快な思いをしなくていいと考える人が多いのだそうです。

日本ではまだまだ店員がいる方が安心できると考える人が多いです。

それは、接客サービスへの期待値が高く、かつ従業員の水準も高いので店員のいる小売店を選ぶ要因にもなっています。

しかしこれからの日本は人手不足がますます深刻になってくるので、その問題を打開するために無人店が増えるのではないかと思います。

しゅくだいやる気ペン

脱ゆとり教育が進められる中、宿題など自宅での学習時間も増加傾向にあります。

しかしながら自宅学習は取りかかるまで時間がかかったり、集中力や意欲が続かないといった悩みを親子ともに抱えています。

そこで文具メーカーのコクヨが書くことに楽しさを加えることで、子供が自発的に宿題に取り組めるような工夫ができないかと開発したのが「しゅくだいやる気ペン(仮称)」

「やる気ペン」を鉛筆に装着して書くと、内蔵センサーが筆記量を認識します。その筆記量が「勉強パワー」としてスマホに送られ、スマートフォンアプリ内の「やる木」が成長するという仕組みです。

筆記量に応じてたまる「勉強パワー」を使って仮想の植物を育てるゲーム仕立てになっており、将来的にはたまった「勉強パワー」に応じて文具などのごほうびに交換できるサービスも検討中だそうです。

なんだかドラえもんに出てきそうな道具です。

しずかちゃんやできすぎくんはすごく「勉強パワー」がたまり、のび太はあまりたまらずにドラえもんに泣きついているシーンが想像されます。

はたして、世のお母さんの「宿題やったの?」という悩みが解消されるのか、大いに注目したいです。

主な対象は小学2年生~4年生までで、2019年春の発売予定だそうです。

基礎研究とPL脳

先日、京都大学の本庶教授がノーベル賞を受賞しました。

がんの免疫療法を確立したことを評価されましたが、地道な基礎研究があったからこそ発見に結びついたと思います。

最近のノーベル賞受賞者は同じコメントをしています。「日本は基礎研究への予算が足りない。このままでは10年後20年後には日本からノーベル賞は出なくなってしまう。」

研究には基礎研究と応用研究の2つに大別されます。

基礎研究は特別な応用や用途を考慮せずにまだ解明されていない物事のしくみを追求し理論化することで、応用研究は基礎研究などで解明された知識を応用し、特定の目的のために製品に結びつけるための研究です。

どちらともとても大事なのですが、近年日本では基礎研究への予算が減少しています。

これは日本全体がPL脳に陥っている証拠ではないかと危惧します。

PL脳は会計上の損益計算書(PL)からきている言葉で目先の利益を最大化することに重きを置く考え方です。

「こうした方が稼げる」「コスパがいい」そういった言葉が賞賛される世の中に本庶教授の言葉が心に響きます。

需給バランス

英高級ブランドのバーバリーが売れ残った服や香水など約41億円相当を廃棄すると発表し、世論の激しい批判にあい廃棄処分を中止したニュースは記憶に新しいです。

しかしこれは高級ブランドに限った問題ではありません。

日本のアパレル業界が長年悩み続ける在庫過剰問題です。

バブル期に15兆円あった日本のアパレル市場は2016年に10兆円まで縮小しました。その一方で供給量は40億点とバブル期から倍増しています。

売れる量は年々減っているのに作る量は年々増えていき、需要と供給のバランスがどんどんと広がっているのです。

原因は売り逃しを恐れての過剰発注や企画から生産までのリードタイムの長さ等さまざまです。

服は綿花、羊毛等の農畜産物や石油化学素材で作られます。又、製糸から縫製まで多くの人手が要る労働集約的産業です。

日本だけでも年間約100万トンが廃棄され、その多くは焼却されていきます。

作るプロセスに関わった人々は断腸の思いでしょう。

資源と労働の価値を無駄にしないためにも需給バランスの適正化が望まれます。