年の瀬 2022

2022年 令和4年も残りわずかとなりました。

今年最大の出来事はロシアによるウクライナ侵攻です。2月に始まったこの戦争はいまだ続いており、終結のめどがたっていないのが現状です。

その影響は全世界に混乱をもたらし、サプライチェーンが分断されました。それにより物流費や原材料費が高騰し、モノの値段がすごい勢いで上昇しています。

弊社においても9月に価格改訂を余儀なくされました。

戦争が終結し、原材料価格が安定することを切に望んでいます。

新型コロナについては感染者は増大していますが、行動制限はなく日常を取り戻しつつあります。

秋以降は靴の売上も徐々に回復してきています。

来年は一年を通じてコロナ前の生活になるのではないかと思っています。

旅行や外食などのレジャーも普通に楽しめるようになってきていますので、ファッションに対する関心も増えてくると思います。

私たちも「靴を通じてお客様の人生を楽しくする」というモットーの下、来年はスニーカータイプなどの新しい商品を開発しようと考えています。

年末まで私のブログを読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

良いお年をお迎え下さい。

松屋の決断

新型コロナとデジタル化の波は様々な業界に変革を迫っています。

150年以上の歴史を歩んできた百貨店の松屋は大胆な改革に取り組んでいます。

一つは祖業の「呉服」売場を廃止したことです。日本の百貨店は呉服系と鉄道系に分かれています。呉服系は三越伊勢丹、大丸松坂屋、髙島屋などが代表的ですが、上場している百貨店で呉服をやめたのは松屋が初めてです。

二つめは「高級冷凍食品」売場の展開です。消費者の時短指向をとらえ、地下2階に開いたのが冷凍食品の専門売り場「GINZA  FROZEN GOURMET」です。

銀座の名店や高級レストラン、パティスリーなど百貨店らしい「高級味覚」を約55ブランド、350種類揃えています。

「銀座  日東コーナー1948」「銀座みかわや」「銀座ピエス・モンテ」の他、親子丼の元祖ともいわれる人形町の名店「玉ひで」の商品もあります。

冷凍商品は味が落ちるとの見方が一般的ですが、最新技術は進化しています。凍結時に肉などの細胞が壊れないようにし、解凍時にうま味成分が流出しないような加工技術があり、作りたてに近い味の再現ができるようになりました。

今までの百貨店の常識を破るような大変革にチャレンジしている松屋。消費者の支持を得られるのか注目していきたいです。。

百貨店が農業参入

関西の近鉄百貨店が農業ビジネスに参入します。

2023年2月期に大阪府南部の南河内地域に約6000平方メートルの農地を選定し、イチゴ栽培を始める予定です。

農業を手がける事業者と提携して生産設備や栽培システム、苗や肥料、梱包資材といった原材料などの提供を受けます。

実際の栽培は近鉄百貨店の社員やアルバイトなどで行う方針です。

1パック250グラムあたり600~1500円ほどの中~高価格帯のイチゴを生産し、百貨店を中心に販売する予定で2023年冬の出荷を目指します。初年度の売上高は1億円を見込んでいます。

イチゴは1粒数千円から数万円程度の品種が開発されるなど付加価値の高い農産物として注目されています。ケーキなどスイーツにもよく使われるためクリスマスなどの催事での需要も高く、百貨店で販売するのに適した商材です。

近鉄百貨店は店舗のほとんどを自社で所有せずに親会社の近鉄グループホールディングスから借りているため、テナント化を進めて賃料収入で稼ぐ不動産業を強みとする競合他社と比べて百貨店業に次ぐ事業が脆弱です。

そこで目をつけたのが農業ビジネスです。

生産から販売といった川上から川下までを自社で担うことで卸などを間に挟まずに高収益を確保できると見込んでいます。

今後はメロンやシャインマスカットなどの高付加価値の果物にも挑戦する方針です。

コストコの再販店

会員制量販店コストコの再販店「ストックマート」が人気です。

東京都内の駅近くにあり年会費はゼロです。大容量で売られているコストコの人気商品が小分けされバラで売られている店です。

コストコで買い物したいが量が多い、行きづらいと感じていた小家族やおひとり様の潜在ニーズを掘り起こしました。

世帯規模の縮小が続く日本の社会らしい現象です。

ストックマートが最初にできたのは2021年5月のことで、それ以降都内中心に広がっています。

コストコの法人会員になり、川崎や多摩境のコストコ倉庫店から仕入れて販売する店で、同じ容量ならコストコ本体より2~3割高めですが、年会費 (4,840円) はかかりません。

ストックマートはコストコの全ての商品をそろえているわけではありませんので品揃えが大事です。

いかに売れ筋商品を小分けにして売るかがポイントです。

ベーコンやレタスをトルティーヤで巻いた「ハイローラー」(通常21個入り) を7個入りで売り出したらよく売れたそうです。

興味深いのは来店客がコストコの商品情報についてとても詳しいということです。

これはコストコのファンの発信力が非常に大きいからです。

ストックマートには様々なところから出店依頼が多く寄せられており、これから日本中に広がるのではないかと思っています。

垂直水耕栽培

「垂直水耕栽培」とはあまり聞き慣れない言葉ですが、これがすごいのです。

今まで野菜を作るというのは土の地面に野菜を植えて育てるというものでしたが、垂直水耕栽培はプランター(植木鉢) を垂直に配置することで縦で野菜を作るというものです。

そうなると広いスペースは必要なくなり、同じ面積でも5~10倍も収穫できるのです。

又、地面の地質は関係なくコンクリート、砂漠、岩石質で作物を作れない土地でも問題はありません。

畑で面倒な耕す作業、雑草取り、肥料まきなどもほとんど必要ありません。

基本、太陽の光と水があれば十分です。

その垂直水耕栽培で大成功している国がオランダです。

オランダはドイツとベルギーと国境を接するヨーロッパ北西部の国です。面積は九州と同じくらいで、人口は1700万人です。

そんな「小さな国」オランダの農産物輸出額はアメリカに次ぐ世界第2位なのです。

収穫量は国土の面積とは関係がないことを実証しています。

 

中国からインドへ

2023年はアジアの人口動態で画期的な年になるといわれています。

国連が2022年7月に公表した最新の予測によると、長らく人口世界一の座にあった中国は2023年に14億2567万人となり、インドの14億2862万人に逆転される見通しです。

中国の人口は2022年から減少を始めた可能性がある一方、インドの人口は今後も増え続けるため、2050年には中国の人口13億1263万人に対し、インドは16億7049万人と差が開く予想になっています。

インド以外のアジアでは東南アジアの人口もペースこそ鈍るものの拡大を続けると見込まれています。

経済を見る上で重要なのは人口の規模だけでなく、その年齢構成です。

生産年齢人口 (15~64歳) が増え続け、かつ総人口に占める比率が上昇すると経済成長が見込まれます。

生産年齢人口が増えるにつれ労働集約型の製造拠点として発展しやすいのです。

又、現役世代の比率が増えることで貯蓄率が上昇しやすく、その貯蓄を活用した投資も活性化していきます。

インドは世界最大に膨らむ人口に雇用の受け皿を創出するためにも、労働集約型産業のテコ入れが急務です。

世界の工場が中国からインドに変わるのは人口動態の観点でみると歴史の必然といえるかもしれません。

 

音始末

新型コロナの感染拡大で巣ごもり生活が定着してきました。

アパレルや外食は不振でしたが、楽器関連は大きく売上を伸ばしました。

しかも意外なものが売れているのです。

島村楽器の2021年上期売上ランキングをみると1位はピアノで、2位はなんと「防音室」でした。

通常の家屋に備え付ける防音室は50万円以上かかるのですが、簡易型の防音室を12万円前後のお手頃価格で販売したところ想定以上のヒットとなりました。

楽器の練習用以外でもリモートワーク用やパソコンを利用した音楽配信用のスペースとしての需要があったのです。

音を巡るご近所トラブルを避けるための後始末ならぬ音始末に新たな需要があるのだそうです。

電子楽器のローランドも音始末の需要をつかむ商品を発売しました。

ステージで弾いているような臨場感を味わえるワイヤレス型のヘッドホン型ギターアンプシステムで品切れになるほどの売れ行きで、ベース版も追加発売しました。

音の始末で問題解決、令和の新しいビジネスの予感がします。

ビズッパ アップル

「カカトを踏んでスリッパ履き、お仕事中の足元に解放感を」をコンセプトに開発したビズッパ。

第5弾となるビズッパ  アップルを応援購入サービスMakuakeにて2022年3月1日からスタート致しました。

大変うれしいことにプロジェクト初日に目標金額を大きく上回る834,000円を記録致しました。応援していただいた方、ならびにこのプロジェクトを支えていただいている全ての人に感謝申し上げます。

ビズッパは第1弾が2019年1月に始まりました。その後、第2弾、第3弾、第4弾と機能性のアップや甲素材の変更等で改良を重ねてまいりました。

第4弾までのご支援者総数は1784人。ご支援総額は26,799,600円に上りました。これは私たちの想像をはるかに上回るもので、感謝の念がわき上がるとともに期待に応える商品を作っていかなければならないという使命感をヒシヒシと感じるものでありました。

第5弾を開発するにあたり心掛けていたのは変えてはいけないものと変えてもよいものとの選別です。お客様が気に入っているものは変えない、変えることにより少しでも良くなるものは変えるという姿勢です。

いろいろと試している中で出会ったのが廃棄りんごから作られたアップルレザーです。

本革のようなシボ感とソフトで軽くさらっとした手触りで、靴素材として使うと適度に柔らかく、抜群のはき心地を実現することができました。

又、発色もよく、クロ、ブラウン、ネイビーの他にりんごを思わせるワインも投入することができました。

あえてデザイン、機能性、サイズ展開は変えていません。

長い試行錯誤の末、いいものが出来たのではないかと思っています。

4月29日までプロジェクトを実施していますので、よかったら応援して下さい。

靴下の神様

国内外で「靴下屋」など約270店舗を展開する「タビオ」の創業者である会長の越智直正さんが先日、交通事故で亡くなられました。

会社の事業拠点である「タビオ奈良」に向かう途中、軽トラックにはねられたそうです。

越智さんは1939年愛媛の農家で11人兄弟の末っ子として生まれ、15歳から大阪にある靴下専門の卸店で丁稚奉公を始めます。

13年間の丁稚生活を終え1968年に独立、総合靴下卸売業「ダンソックス」を設立します。倒産の危機を何度も乗り越えながらも自社製品の生産を始めます。

越智さんが追求したのは「はき心地の良さ」。日本の職人にしかできない微妙な技術力が欠かせないため「日本製」にこだわり抜きました。

中国製の安い靴下が市場を占める中、品質を下げずに適正価格で供給し製造から小売りまでを一気通貫で結ぶSPA型企業を作り上げ「靴下の神様」と呼ばれました。

私は越智会長の理念に深く共鳴し、異業種ながら大変尊敬しておりました。

「理想の靴下を作りたい」と言っていた越智会長。82歳になっても靴下のことを考えて会社の拠点に向かわれていたのでしょう。

哀悼の意を捧げます。

いま、必要なもの

新年あけましておめでとうございます。

昨年は新型コロナウイルス感染症の猛威が全世界で継続し、経済活動や社会生活において大きな影響を及ぼした1年でありました。

そのような中、日本ではオリンピックが開催され、岸田内閣が発足するなど大きな転換点の年でありました。

先進国の中で出遅れていたワクチン接種も驚異的なスピードで進み、秋から感染者が激減し、10月以降は徐々に経済活動も活発化しつつありました。

2年ぶりの帰省をされる方も多く、普段通りの年末年始を彷彿させるものでした。

しかしながら、正月明けから全国的に感染者が急増し、第6波の入口に差し掛かった感じです。ついに来たかという思いです。

長期化した新型コロナウイルス感染症の影響は「新たな日常」に伴う消費者のライフスタイルの変化により価値観や購買方法の多様化など社会全体に大きな変化を及ぼすでしょう。

ウィズコロナ、アフターコロナの世界において何が残り、何がなくなるのか。なくなっていくものはどのように変化していくのかを常に注意深く考えていかなければならないと思います。

誰もが経験したことのない世界なので前例踏襲は通用しません。

常識を疑い、全く新しい発想こそが必要となってきます。