ロレックスマラソン

ロレックスマラソンとは、ロレックスの欲しいモデルを求めてロレックスの正規店を巡ることをいうのだそうです。

そこには人気商品であるがゆえに転売目的で購入する人には売りたくないという店側の意図があります。

実際に正規店では買い占め防止のため身分証の提示を求め「指定モデルはおひとり様1点限り」や「同一コレクションは5年間購入不可」という購入制限があります。

人気商品は入荷数が少ないので、余程タイミングが良くない限り入手することは難しいのです。

それゆえ欲しい人は自分の運を試すかのごとくロレックスマラソンに挑戦します。

完走するコツが興味深いです。

「ロレックスを身につける」「きちんとした服装で印象良く」「一人よりも複数人で行く」

自分は転売目的ではなくロレックスをこよなく愛し、身なりも人柄も良い人物ですということをアピールし、店側に信頼してもらうことがポイントです。

運良く店側に認められた人だけが購入できる栄誉にあずかれるのです。

コロナ禍でECにシフトする高級ブランドが多い中で、ロレックスは来店しないと買えないブランドです。

ある店によると来店数は平日で200人、土日で300人にのぼり、増加傾向だそうです。

彼らが完走して苦労が報われる瞬間に遭遇してみたいです。

太陽の塔が問う意味

1970年大阪でアジア初の万国博覧会が開催されました。

万博史上最多の6421万人を集め、戦後日本における最大のイベントとなりました。

この万博を象徴するアイコンとして前衛芸術家・岡本太郎氏によって作られたのが太陽の塔です。

万博閉幕後、ほぼ全てのパビリオンが撤去される中、太陽の塔だけが永久保存されることが決定しました。

その後、内部は半世紀にわたり扉を閉ざしていましたが、2018年に再生を果たし公開されるようになりました。

その太陽の塔の内部を見てまいりました。

中は思っていたよりも広く「生命の樹」が一本そびえ立ち、下から上へ原生類から哺乳類へ進化していく様が33体のオブジェにより表現されています。

天空に伸びる1本の樹体にアメーバ、くらげ、三葉虫、サソリ、魚類、恐竜、マンモス、チンパンジー、クロマニヨン人などの「いきもの」がびっしりと貼りついている独創的なインスタレーションで今まで見たことのない世界観でした。

このようなものが50年以上前に作られていたとは驚き以外何ものでもありません。

予定調和や常識という型にはめられた価値観を超越し、制限のない自由を感じました。

その当時の万博において岡本太郎氏を起用しメインのシンボルを作り上げ、世界に発信したことはとても勇気のいることであったと思われます。その気概に感服するばかりです。

批判を恐れて無難なものに落ち着いてしまうムードがある最近の日本。2025年の大阪万博ではもう一度世界を驚かせてほしいです。

靴下の神様

国内外で「靴下屋」など約270店舗を展開する「タビオ」の創業者である会長の越智直正さんが先日、交通事故で亡くなられました。

会社の事業拠点である「タビオ奈良」に向かう途中、軽トラックにはねられたそうです。

越智さんは1939年愛媛の農家で11人兄弟の末っ子として生まれ、15歳から大阪にある靴下専門の卸店で丁稚奉公を始めます。

13年間の丁稚生活を終え1968年に独立、総合靴下卸売業「ダンソックス」を設立します。倒産の危機を何度も乗り越えながらも自社製品の生産を始めます。

越智さんが追求したのは「はき心地の良さ」。日本の職人にしかできない微妙な技術力が欠かせないため「日本製」にこだわり抜きました。

中国製の安い靴下が市場を占める中、品質を下げずに適正価格で供給し製造から小売りまでを一気通貫で結ぶSPA型企業を作り上げ「靴下の神様」と呼ばれました。

私は越智会長の理念に深く共鳴し、異業種ながら大変尊敬しておりました。

「理想の靴下を作りたい」と言っていた越智会長。82歳になっても靴下のことを考えて会社の拠点に向かわれていたのでしょう。

哀悼の意を捧げます。

いま、必要なもの

新年あけましておめでとうございます。

昨年は新型コロナウイルス感染症の猛威が全世界で継続し、経済活動や社会生活において大きな影響を及ぼした1年でありました。

そのような中、日本ではオリンピックが開催され、岸田内閣が発足するなど大きな転換点の年でありました。

先進国の中で出遅れていたワクチン接種も驚異的なスピードで進み、秋から感染者が激減し、10月以降は徐々に経済活動も活発化しつつありました。

2年ぶりの帰省をされる方も多く、普段通りの年末年始を彷彿させるものでした。

しかしながら、正月明けから全国的に感染者が急増し、第6波の入口に差し掛かった感じです。ついに来たかという思いです。

長期化した新型コロナウイルス感染症の影響は「新たな日常」に伴う消費者のライフスタイルの変化により価値観や購買方法の多様化など社会全体に大きな変化を及ぼすでしょう。

ウィズコロナ、アフターコロナの世界において何が残り、何がなくなるのか。なくなっていくものはどのように変化していくのかを常に注意深く考えていかなければならないと思います。

誰もが経験したことのない世界なので前例踏襲は通用しません。

常識を疑い、全く新しい発想こそが必要となってきます。