永遠の0(ゼロ)

最近読んだ本の中で一番良かった本は、間違いなく「永遠の0(ゼロ)」です。

2006年に刊行され、100万部を突破した大ベストセラーなのに今まで読む気になれません
でした。

理由はいくつか思いあたります。

作者の百田尚樹氏は昔、「ラブアタック」という番組にみじめアタッカーとして常連のめちゃ
くちゃおもしろい青年で、現在は関西の高視聴率番組「探偵ナイトスクープ」の構成作家と
して有名であったので、シリアスな小説はいまいち読む気になれなかったのだと思います。

しかし、読んでみると作者の印象とは全く違う世界が広がっており、これから読まれる人も
作者の経歴、外見等の情報を調べずに読まれることをおすすめします。

内容は太平洋戦争時の零戦パイロットの生き様の話で、あの戦争で死んでいった人々の
心情がよく表されています。

特に戦争末期の特攻隊で若い命が次々と失われていく無念さは、胸がはりさけそうになり
ます。

なぜ、戦争で生き残った人たちが多くを語らないのかもよくわかりました。

今の平和な日本がこの人たちのおかげであるのだと改めて痛感します。

戦争を知らない私たちの世代やもっと若い人に是非知ってもらいたい話です。

本を読むのが苦手な人も、V6の岡田准一や三浦春馬、井上真央、吹石一恵等、豪華キ
ャストで12月に映画として公開される予定なので、一食抜いてでも観る価値はあると思い
ます。

悲観主義からの決別

先日、ある記事に共感しました。

その記事によると、多くの外国人は「日本は世界第3の経済大国なのに、なぜ悲観的な
のですか?」という感想を持つらしいのです。

外国からみる日本は、世界第3の経済大国で社会格差は先進国の中でも小さく、世界一
の長寿国。

それに清潔、安全、秩序だった社会は世界基準でみるとすばらしいというのです。

にもかかわらず、日本国内の関心は政治空転、経済の低迷、巨額の累積債務、未解決
の原発事故、生活保護世帯の急増、領土問題等、悲観的な問題のオンパレードです。

これでは日本人全体が悲観主義になってしまうのは無理もありません。

上記の事柄は全て事実であるのですが、とらえ方のバランスの問題だと思うのです。

内向き志向でとらえるのではなく、外の世界にも関心をもち、大きな世界的な視野に立っ
て物事を判断、分析する必要があると思います。

自信過剰になる必要はないのですが、日本と日本人には世界に誇れるくらい立派なモノ
があるのです。

なのに日本が悲観主義に陥るのはあまりよくないです。

なぜなら、アジア、アフリカの途上国が多くの課題を抱えながらも悲観主義に陥ることなく
がんばっているのですから・・・。

「ダメだ、ダメだ」と騒ぎたてるのではなく「やってみよう」と一歩踏み出す雰囲気を作ってい
き、悲観主義から決別すべきであると思います。

オーストラリア人の友人

先日、近所に住むオーストラリア人の友人から突然電話があり、オーストラリアに帰ること
になったと告げられました。

私はしばらく沈黙したあと 「そうか、元気でな」 と言うのが精一杯でした。

彼は元来、陽気なタイプでよくしゃべります。

彼は外国人特有の少しオーバーな表現で 「呉本さんと知り合ってとても幸せだった。あな
たとその家族の幸せを願っている」 と静かなトーンで言いました。

「私もそうだったよ」 と返しましたが、彼の無念さが痛いほど感じられ、そのあとはうまく言
葉が出ませんでした。

彼は20年ほど前に来日し、日本人の妻と共に英会話教室をはじめました。

私は18年ほど前からその英会話教室に通うようになり週一回、彼の授業を受けていまし
た。

授業といっても年も近く、陽気な外国人なのでテキストなどは使わずに何げない世間話を
して60分過ごしていました。

だから彼の性格、考え方、人生、生活などはよく知っていましたし、先生というより友人の
ようでした。

その彼が5年ほど前から体の調子をくずしていました。

そして私も仕事が忙しくなって、1年ほど前にその英会話教室をやめました。

それ以降、彼とはあまり会う機会がなくなりました。

突然帰国するという電話にそれほど体の調子がすぐれないのかという想いが先行し、聞き
たい質問をのみ込みました。

オーストラリアで治療し、元気になって日本に帰ってこれること祈るばかりです。

覆面調査員

以前、得意先に覆面調査について興味深い話を聞きました。

そのお店はテナントビルに入っており、ビルの運営会社がテナントを客観的に評価するた
めに年に1回、覆面調査員を使い、サービスの調査をするそうです。

調査結果が各テナントごとに報告され、改善を促すというしくみです。

そのお店の評価は驚きの結果だったのです。

なんと189店舗中189位で、最下位の評価でした。

理由は「販売員の声かけがない」ということでした。

しかしながら、そのお店は売上ランクでは189店舗中3位で、繁盛店として名が知れてい
ました。

そもそも覆面調査は、サービスを向上させて店を繁盛させることが目的です。

その店の店主は言いました。

「当店ではお客様にじっくりと商品をみてもらうために、お声かけはあえてしていない。お
客様の様子をみて声をかけています。その時はお客様の立場に立って、ていねいに接客
しています」

おそらく、そのような誠実な対応がお客様の好評価を得て、売上につながっているのでは
ないかと思います。

表面的な事象のみを数値化してランク付けをしてしまうと、本質的なものを見逃してしまう
ことがあります。

聞けば、覆面調査員もアルバイトでサービスのなんたるかを知っているプロではありませ
ん。調査項目に自分のみてきたことを記入するだけのようです。

覆面調査そのものの信ぴょう性を否定しているわけではありませんが、マニュアルでサー
ビスを一律に評価する手法は個性的なお店を正しく評価できない可能性があります。

マニュアル的なサービスがきらいという方もいるのですから・・・

きみまろの新境地

先日、テレビをみていると、綾小路きみまろのショーがやっていました。

実は綾小路きみまろのファンで、ディナーショーもみにいったことがあります。

独特の辛口漫談で、客席の中高年のお客様をいじる芸風が大好きです。

「そこで笑っている奥様、キレイだったんですよ。面影ないですけど・・・」

「あれから40年・・・ 時間の経過は残酷です」

いじられているお客様も大笑いしながらとても楽しそうです。

みていたテレビでのショーも中盤までは同じような展開で進行していたのですが、その
後は少し様子が違っていました。

きみまろが客席のあるテーブルに近づいていき、言いました。

「あれっ、この方は周りの人たちと違い、若くておきれいですね・・・ちなみにおいくつで
すか?」

「45歳です」

「45歳でそのハリとツヤのあるお肌はすごいですね・・・よかったらステージの方へお上
がり下さい」

拍手の中、その45歳の方がステージに上がり、インタビューがはじまりました。

「そのきれいな肌を維持するためにどんな化粧品を使っているのですか?」

「〇〇化粧品です。使い方はとってもカンタン・・・・」

その後、化粧品の説明が続き、画面の右上にフリーダイヤルの番号が表示されました。

化粧品の通販番組だったのです。

それにしても前フリの仕込が長いので、全然わかりませんでした。

きみまろの新境地をみたような気がしました。