人生の達人

先日、東京でタクシーに乗った時の話です。
たまたま乗ったタクシーの運転手さんが、かなりのご高齢であったので大丈夫かなと少し
心配していました。 
しかしながら、予想に反して運転はなめらかで、道にも詳しそうだったので安心しました。
顔の色ツヤもよく、元気そうです。
興味があったので話しかけてみました。
「失礼ですけど、おいくつですか?」  
「今年で81才になります」
ちょっとビックリです。
81才のタクシー運転手さんははじめてです。
聞けば、週4回の午後の数時間のみの勤務で、あとの日は畑仕事に精を出して野菜を作
っているそうです。
その作った野菜も、自分が食べるほかは友人、知人におすそ分けしているそうです。
戦後、いろいろな職を転々としながら、日本の高度成長期に一生懸命に働いてきたそうで
す。
食糧のありがたさも、労働の喜びも知っている81才のその運転手さんは、とても充実した
毎日を送っているように見えました。
社会と自然とのつながりを絶妙のバランスでとっている生き様は、人生の達人のように思
えました。

鳥貴族の極意

先日、TVで鳥貴族の大倉忠司社長が出演していました。
外食産業が低迷している中で、鳥貴族は好調を維持し、昨年にはジャスダックに上場致し
ました。
優しくて温和そうな社長は25歳で独立し、大きな夢を当時から語っていたそうです。
鳥貴族の成功の秘訣は、商売の王道に通じるものがたくさんあると感じました。
  一、メニューは全品280円 (税抜) でわかりやすい
  二、国産鶏肉100%で品質にこだわっている
  三、ランチ営業はせず、焼鳥の串打ちを各店舗で行っている
  四、タレは本社工場でまとめて生産している
  五、炭火を使わず自社開発の電気グリラ―で焼く
チェーン店でありながら品質にこだわり抜き、鮮度と味を一定に保つ工夫が随所にあふれ、
低価格を実現しています。
宣伝はしなくても、安さと味に納得したお客さんはリピーターになっていきます。
関ジャニ∞の大倉忠義くんの父親でもある大倉忠司社長。
子育てにおいてもムダ使いはさせず、お金の大切さを教えていたそうです。
研究熱心で、謙虚なその姿に更なる成長の予感がしました。

京都市交響楽団

NHKの 「SWITCH インタビュー達人達」 というTV番組に出演していた、広上淳一さんとい
うオーケストラ指揮者に興味がわきました。
運よく、広上さんが指揮する京都市交響楽団の演奏を聴く機会がありました。
チケットは完売、会場は満席です。
広上さんが登場します。
予想通りに小柄で、かわいらしい愛嬌のあるおじさんです。
指揮はダイナミックで、時には跳ねたり全身で指揮をしている感じで、とてもパッションを感
じました。
それに呼応するかのように、楽団員の方たちも一糸乱れぬ調和のとれた旋律を奏でていま
した。
特に、ラヴェルのボレロは個々の独奏パートの能力を最大限に生かし、最後は迫力のある
合奏を見事にまとめ上げる広上さんの引き出す能力に脱帽致しました。
最後に、広上さんがうれしい報告をされました。
日本の洋楽発展に顕著な業績をあげた個人又は団体に贈られる 「サントリー音楽賞」 に
広上さんと京都市交響楽団が選ばれたそうです。
とても名誉なことです。
広上淳一さんが常任指揮者として、京都市交響楽団の能力をいかんなく発揮させていると
ころをみると、オーケストラの指揮者は会社の経営に通じるところがあると感じました。

私たちの進むべき道

靴屋のツボというブログを始めたのは、6年前の2009年4月でした。
はじめのうちは、ここまで続くとは思ってもいなく、その時々の想いをつづっているうちに今
回で300回目を迎えることができました。
昔のブログを読み返してみると記憶がよみがえり、時に納得したり、時に恥ずかしくなった
りといろいろです。
6年前というと、それほど昔ではないように感じますが、靴業界をとりまく状況は変化が著し
かったです。
6年前の統計では、靴の国内生産量と輸入量の差があまりなかったのですが、最近の統計
によると国内に流通している革靴は約6000万足で、そのうち4000万足が輸入靴だそうです。
国内生産量(2000万足)の2倍となっています。
輸入靴の原産国TOP5 はカンボジア、バングラディシュ、中国、ミャンマー、ベトナムで全体
の75%以上を占めています。 
輸入靴は年々増加しており、国内生産靴は年々減少しています。
このまま国内生産が減少し続ければ、メーカーの廃業、職人さんの転職となり、国内靴生
産業の存続の危機になってしまいます。
私は非常に大きな危機感を持っています。
そのようなことにならないためにも靴製造の技術を若い人たちに伝承し、日本の靴作りの
文化を守っていきたいと考えています。