先日、地方へ出張に行くために伊丹空港から飛行機に乗った時の事です。
搭乗時刻近くになりゲートに乗客らが集まりだした時にアナウンスが
聞こえました。
その内容は予約数が搭乗可能数を上まわっており、お急ぎでない人は
次の便に乗っていただけないかという旨でした。
そのお礼に10,000円をわたしますという内容でした。いわゆるオーバー
ブッキングです。
しばらくすると数名が名乗り出て次の便への乗り換えの手続きをしてい
ました。その他の乗客は搭乗を開始し、全員がシートベルトを着用し、
あとは離陸を待つのみといった瞬間、前方の乗務員があわただしい動き
をしはじめ、アナウンスが聞こえました。
「誠に申し訳ございませんが、次の便にてご搭乗いただけるお客様を再度
探しております。どなたかお願いします。」
あわてる乗務員、静まり返る機内、、、
私もこの便に乗らなければ打ち合わせに間に合わないので黙っていました。
すると乗務員の中でも上司らしき女性がマイクを握りこう言いました。
「通常10,000円のところ15,000円でどうでしょう?」
「マジですか?」私は心の中で叫んでいました。このまま値は上がるのか、、、
異様な緊張感と静寂が機内をつつんでいます。この沈黙が長ければ長くなる
ほど手を上げる人も上げにくくなります。誰か何とかしてくれというムード
が最高潮に達した時、子供連れの若い奥さんがおもむろに「では、私が、、、」
と手を上げてくれました。機内の乗客が一斉に心の中で拍手をした瞬間
でした。
しばらくすると中年の女性が満面の笑顔で乗り込んできて、譲ってくれた席に
つきました。もしあの時、誰も名乗り出なかったらいくらまで値は上がったの
だろう。上がり続ける値を聞いて乗客の対応はどうなったのだろう。高い値で
手を上げた人はボランティア精神あふれるヒーローなのか?お金に執着する
守銭奴なのか?評価が分かれるだろうなと思いながら機上の人になっていました。