私は中高生の頃、オーディオが趣味でした。
今の若い人にはよくわからないと思いますが、スピーカー、アンプ、チューナー、プレー
ヤー等のステレオの一部を構成するオーディオ機器のマニアで、その当時には一定の
ファン層がいて、特別珍しい趣味ではなかったと思います。
全盛期にはオーディオ御三家と呼ばれるメーカーがあり、世界的に有名でありました。
それはアンプの山水電気(SANSUI)、チューナーのトリオ(現JVCケンウッド)、スピー
カーのパイオニアです。
学生の私には当然買えるはずもなく、憧れのブランドでいつかは持ちたいという思いは
ありました。
しかしながら、時代は残酷なものです。
レコードからCD、そしてMP3というデータへ、音楽がアナログからデジタルへと大変換
していき、当然再生機器も大きく様変わりしていきます。
リビングルームの中央に鎮座していたステレオの姿は今はなく、i Podのように持ち運
べる、よりパーソナルなものに変容していきました。
市場が消失したのです。
時代の急激な変化にさらされたオーディオ御三家の現在は悲惨です。
山水電気は破産、トリオは日本ビクターとの経営統合、パイオニアは音響・映像機器事
業を売却致しました。
かつての主力製品は過去の産物となり、現在はカーエレクトロニクスの部門にシフトして
いっています。
時代の変化にさらされる日本企業。
電気大手のソニーが苦しんでいますが、パナソニックや日立は業績を回復しています。
さらされる状況は同じでも、変化にいかに対応していくかという企業の舵取りが明暗を分
けると改めて思いました。