豆腐バー

2020年 冬以降、あるコンビニの店頭に一風変わった食品が並んでいます。

「TOFU BAR」(豆腐バー) です。

サラダチキンバーのような形状で片手で食べられるのが特徴で、通常の豆腐に比べるとかなり硬めで食感もかなり違います。

ステイホームの追い風を受け、アサヒコ (さいたま市) の豆腐バーは累計800万本近く売れるヒットになっています。

誕生のきっかけは米国出張でした。

アサヒコのマーケティング部長が2018年に米国のスーパーの売り場を視察すると、豆腐が精肉などと同じようにたんぱく源として売られていました。

「豆腐はもっと自由に食べてもいい。チキンバーのような豆腐はできないか。」豆腐業界の経験が浅い分発想は柔軟でした。

豆腐は柔らかく作るのが常識でしたが、製造部門に「硬い豆腐を作ってほしい」と懇願し、「硬い豆腐」作りが始まりました。

2020年11月に豆腐バーが発売されると20~30代の消費者に刺さり、大ヒットになりました。

「〇〇とはこういうもの」という業界内の常識が市場を縮小させていることもあるのではないでしょうか。

消費者目線の柔らか頭で発想することが、今まさに求められているのだと思いました。

 

小林研一郎

「炎のマエストロ」と呼ばれる指揮者、小林研一郎。

81歳を迎え、ますます円熟味を増す小林研一郎の十八番とも言える作品スメタナ「我が祖国」を聞く機会がありました。

「我が祖国」はチェコ国民音楽の祖  スメタナの代表作で、現在も音楽史に輝く名曲です。

当時のチェコ (ボヘミア) はオーストリア帝国の支配下で民族復興運動が起こっていました。

第2曲「モルダウ」に象徴されるように祖国への郷愁や愛情が情感たっぷりと溢れ出てくる曲です。

それを一音一音に魂を込める小林研一郎、81歳とは思えぬ元気さと情熱的な指揮。

オーケストラと一体となったその響きは聴衆の胸を揺さぶりました。

チェコには行ったこともないのに、なぜかこの曲を聞くと懐かしい思いに駆られます。

そういえば同じチェコのドボルザークの「スラブ舞曲」を聞いても郷愁を感じます。

もしかしたら前世でチェコと関わりがあったのかも知れません。

機会があれば東欧を訪れてどんな気持ちになるのか確かめてみたいです。

 

植物男子

デパートの松屋 銀座店 (東京・中央) の5階紳士フロアに8月、一風変わった売り場がオープンしました。植物の「コケ」売場です。

カジュアル系紳士服売り場跡の40平方メートルに50種類のコケや関連商品が置いてあります。きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークやステイホームの増加です。

それにしてもなぜコケなのでしょう?

コロナの影響で出勤は減り「働く男性」の象徴であるスーツの販売は低迷しました。自宅で働く時間が増える中、緑による癒やしがビジネスパーソンにとっては必要であると考え、お手入れが簡単なコケが最適ではないかと思い至ったそうです。発案者は女性社員です。

じわりと男性購入客が増えてきて、育て方やジオラマの作り方などのワークショップも考えているそうです。

別のデパートの高島屋 玉川店 (東京・世田谷) でも同じような現象が起きています。別館にある植物専門店「プロトリーフ」はコロナによる植物ブームにより3月、地下2階に新店をオープンさせました。

新店はサボテンなどの多肉植物や少し変わった植物を多数そろえたところ男性客が殺到。従来の女性客を上まわりました。

ステイホームの長期化で30代を中心とした単身男性が買っていくのだそうです。

コロナ下で着実に植物男子は育っています。

大阪名物ミックスジュース

大阪の喫茶店で定番メニューの「ミックスジュース」。その原液が家庭向けに人気を集めています。

老舗飲料メーカーの森井食品 (大阪市) が作る「MJシロップ」がそうです。喫茶店や大手飲料チェーンなど業務用に卸していた原液のパッケージを一新するなどしたうえで一般消費者向けに専用サイトで販売しました。するとSNSで話題を呼び、問い合わせが相次いでいるそうです。

ミックスジュースの原液はミカンや黄桃、パイナップル、リンゴを混ぜた特製で、果実感のあるジャムのような濃厚さが特徴です。この原液に牛乳を注いで混ぜるとミックスジュースが出来上ります。

原液を多めに注ぐと果実のごろごろとした舌触りが楽しめ、牛乳を多めに入れるとすっきりした味わいになるそうです。

この原液は通常の果肉飲料とは違い果物はしぼらず、混ぜ合わせることで食感や香りなどをしっかりと残しているのが特長です。

原液は全て瓶に詰め、金属の栓で蓋をします。紙やペットボトルの容器と比べるとコスト高になりますが、果実の香りが抜けるのを防ぐことを優先しています。

ここに来て一般消費者向けの販売に踏み切った最大の理由は新型コロナの影響で飲食店向けの売上が激減したためです。

価格は1リットル1,480円で送料を含めると2,000円を超えますが、他にはないミックスジュースの味を提供したいという思いから製法を変えずに販売しています。

昔ながらの大阪名物ミックスジュース、全国に広まってほしいと思っています。

バーチャルヒューマン

パラリンピックの閉会式に登場した「imma」というピンク色の髪の女性モデルが話題となっています。

「imma」はインスタグラムやCMの中で活動していますが、現実には実在しない「バーチャルヒューマン」と呼ばれる存在で、CG (コンピューターグラフィック) で作られたモデルなのです。

CGで一番難しいとされる表情も絶妙でCGと言われれなければ本物の人間と思う人がほとんどだと思います。

このような中、サイバーエージェントは俳優や有名人をCG化する「デジタルツインレーベル」という事業を始めました。

有名人やタレントをスタジオに設置した160台のカメラで様々な角度から全身を撮影し、身体の画像データを収集してCG化します。そしてレーベルに所属してもらいCMなどにキャスティングするビジネスで、2023年までに500人を所属させる計画を立てています。

CG化しておけばリアルな撮影後にポーズ変更などの要望に応えることができ、再撮影の手間も省けるというのです。

又、肌を日焼けさせるなどの加工も可能になります。

CGよりもリアルがいいと思う人もいると思いますが、実はインスタの写真などは加工アプリで加工されているのがほとんどだと言われています。

私たちが気がつかないだけで、すでにCGは本物のふりをして日常に存在しているのです。