セール今昔物語

夏のセール時期も終盤戦を迎えています。

最近のセールは昔のセールと比べて、いまいち盛り上がりが欠けているような印象です。

かつてのセールは、高くて買えなかった憧れのブランドの商品を手に入れるチャンスであ
りました。

ブランド志向が強かった時代ですので、街全体がセールに突入すると「この時を待ってま
した」と言わんばかりのお客さんがワクワクしながら買い回っていたような記憶があります。

今の時代はそれほどブランド志向が強くないので、シーズン遅れでも手に入れたいと思う
ことが少ないのかも知れません。

又、トレンドサイクルが短くなる中で、ZARAやH&Mのファストファッションの台頭が大きく
影響しているのでしょう。

百貨店業界に於いては各社の戦略があり、セール開始時期が違うのでセールの盛り上が
りが一気にではなく、小さな盛り上がりが何度もという風になってきています。

私たちのお店でもそうですが、「セール期間中にもプロパーの商品が売れている」という声
も聞きます。

今と昔のセールを比較して、どちらがよいとか言うつもりはないですが、時代の流れにより
お客様の嗜好が変わってきたのだと思います。

それは欲しい物は値引きがなくても買うし、欲しくないものは7割引きでも買わなくなってき
ているということです。

購買動機が安いから買うのではなく、欲しいから買うという本来の行動に戻ってきたという
証しではないかと思います。

 

悩んだ時はナポリ

「ナポリを見て死ね」と言われるほど風光明媚な土地として知られるイタリア南部の都市
ナポリ。

ドイツの文豪ゲーテは、しばらく文学生活から遠ざかっていた後、誰にも告げずに1人イタ
リアへ旅立ち、とりわけナポリを気に入ったそうです。

その理由は、ドイツにはない明るい景観、陽気な人々との出会いであったそうです。

ナポリはゲーテに新しい創作への活力を与えたのは確かなようです。

そのナポリの魅力とは何だろうと、かねてから気になっていたのですが、「イタリア・ナポ
リターナ楽団」の大阪公演があったので行ってきました。

この楽団はナポリ音楽とカンツォーネを演奏するために結成されたオーケストラで、打楽
器はドラムにパーカッションで、ギターとマンドリンが加わると途端にラテンムードが強ま
ります。

楽団全体がラテン系の楽しいムードで観客を楽しませてくれます。

「オー・ソレ・ミオ」は心を晴れやかにし、「サンタ・ルチア」では美しい景色が目に浮かび、
「帰れソレントへ」に胸が切なくなります。

楽しい歌でも悲しい歌でも、ナポリの音楽は「人生を肯定する」音楽であり、明日への希
望、明るい未来への期待が込められています。

「人生って何だろう?」と悩んだ時にナポリの歌と音楽を聴けば「これぞ 人生だ!」とポジ
ティブな答えに気づくのではないかと思います。

ゲーテの言葉が印象的です。

「ナポリは楽園だ。人はみな我を忘れた陶酔状態で暮らしている」

何のために働くのか?

「何のために働くのか?」  深い問いだと思います。

端的に言えば「お金を稼ぐため」ということになるのかもしれませんが、働き続ける意義とな
ると「技術を生かしたい」「お客様を幸せにしたい」といった働きがいという意味合いが強くな
るような気がします。

今年に入って入社希望者の面接を多く行っています。

30分程度の面接でその人の人格、能力等、完璧にわかることは不可能です。

10年来の友人、知人でもこんな一面があったのかと驚くことがよくあるので、人を完全に理
解することは無理なのかも知れません。

ただ入社希望者の面接となると、この人と同じ目標に向かって苦難を共にできるかという視
点でみることが多いです。

そこには「何のために働くのか?」という根本的な問いに関して「大切な人を守りたい」とい
う動機があるかどうかも重要なポイントではないかと思います。

大切な人とは、家族であったり、親、兄弟、恋人等と人それぞれです。

仕事を続けるということは、楽しいことばかりではありません。苦しい事も多々あります。

苦難にあった時、人は試されるのです。

大切な人を守りたいから、土俵際でふんばることができ、再出発できるのではないかと思い
ます。

私の尊敬する京セラの稲盛和夫さんが著書「働き方」の中で以下のように書かれています。

「私たちは自らの心を高めるために働く。
 本当に価値のある人生を送るために・・・」

少しでもその境地に近づくために、今日もしっかりと働いていこうと決意を新たにしました。

 

風立ちぬ

宮崎駿監督、5年ぶりの新作「風立ちぬ」を観ました。

「となりのトトロ」や「崖の上のポニョ」と違い、大人向きの作品です。

まず、ジブリ独特の森の表現がすばらしいです。

木々、葉、雲、光、風のディテール表現が季節感、時代の雰囲気、主人公の感情さえも的
確に表現してしまう手法は、宮崎駿監督ならではのもので圧巻でした。

又、震災から太平洋戦争へ突入する不穏な空気感と時代考証を踏まえた街並み、そこで
生活する貧しい人々の描写がリアルでした。

本当にあの頃の日本は、生きるのが辛い時代であったのだと考えさせられます。

内容はゼロ戦の設計士として知られる堀越二郎の生涯をベースとして、堀辰雄「風立ちぬ」
の純愛物語をミックスしたようなストーリーです。

ただ美しい飛行機が作りたかった天才設計士、堀越二郎。

その時代に生まれた天才が悲しい時代に利用されてしまうのです。

ゼロ戦は軽くて速い。飛行には最適。しかし防御力はないのです。

攻撃を受けるとひとたまりもありません。
 
ゼロ戦の悲劇は「永遠の0(ゼロ)」を読んで知りました。

堀越二郎もまさかそのようになるとは、夢にも思わなかったでしょう。

8月は原爆の日、終戦の日と戦争について考えることが多くなる月です。

エンドロールで流れる、荒井由美の「ひこうき雲」の歌詞が頭から離れなくなりました。