風立ちぬ

宮崎駿監督、5年ぶりの新作「風立ちぬ」を観ました。

「となりのトトロ」や「崖の上のポニョ」と違い、大人向きの作品です。

まず、ジブリ独特の森の表現がすばらしいです。

木々、葉、雲、光、風のディテール表現が季節感、時代の雰囲気、主人公の感情さえも的
確に表現してしまう手法は、宮崎駿監督ならではのもので圧巻でした。

又、震災から太平洋戦争へ突入する不穏な空気感と時代考証を踏まえた街並み、そこで
生活する貧しい人々の描写がリアルでした。

本当にあの頃の日本は、生きるのが辛い時代であったのだと考えさせられます。

内容はゼロ戦の設計士として知られる堀越二郎の生涯をベースとして、堀辰雄「風立ちぬ」
の純愛物語をミックスしたようなストーリーです。

ただ美しい飛行機が作りたかった天才設計士、堀越二郎。

その時代に生まれた天才が悲しい時代に利用されてしまうのです。

ゼロ戦は軽くて速い。飛行には最適。しかし防御力はないのです。

攻撃を受けるとひとたまりもありません。
 
ゼロ戦の悲劇は「永遠の0(ゼロ)」を読んで知りました。

堀越二郎もまさかそのようになるとは、夢にも思わなかったでしょう。

8月は原爆の日、終戦の日と戦争について考えることが多くなる月です。

エンドロールで流れる、荒井由美の「ひこうき雲」の歌詞が頭から離れなくなりました。