コミュニケーション能力とは?

コミュニケーション能力が社会で、もてはやされています。

もちろんあった方がいいに決まっていますが、そのような能力のみに長けている人ばかりでは社会は成り立ちません。

モノを作る職人という仕事は、コミュニケーション能力よりもしっかりとモノを作る能力が要求されます。

口数が少なく、人づきあいはうまくないが、やるべき仕事はきちんとやるといったタイプが職人には多いと思います。

かつての日本はモノを作る職人や自然を相手にする農業、漁業といった職業がそれなりの人口を抱えていたのですが、だんだんと減少しています。

職人の代表格の大工さんは、かつては100万人以上いましたが、最新の統計では40万人にすぎません。

600万人を超えていた農業人口は、今や200万人を割っています。

そのような職業が急激に減少しています。

かわりに営業力や企画力、提案力が重宝され、弁が立って理屈を言える人が求められているような気がします。

それは日本の産業構造が製造業からサービス業にシフトしている事に深く関係しています。

そもそも、コミュニケーション能力とは何を指すのでしょう?

理解力か言語能力か空気を読む力か対人調和力か、深く考えるとわからなくなります。

私たちの会社の靴職人は毎日状態の違う革と対話して、力加減を調節して靴を作っています。

寡黙なコミュニケーション能力のある職人さん達です。

 

君の名は。

大ヒット上映中の映画 「君の名は。」を観ました。

満員の客席のほとんどは10代の世代かと思われます。

こんなオジサンが観に来るのは場違いかなと思いながら、観ましたが途中から妙に感動してしまい、最後には涙にくれて立つこともやっとの情けない状態になってしまいました。

世代によって感じ方は様々だと思いますが、ストーリー、映像、音楽とのコンビネーションが素晴しかったです。

観た人のほとんどが「人に勧めたい」 と言っているのを聞くと、ロングランのヒットとなるのは確実のような気がします。

都会と田舎、女性と男性、大人と大人になりきれていない世代、昼と夜といった対比のコントラストがうまく描写され、あらゆる世代の様々な想い出の共感となっているのではないでしょうか?

どこか懐かしく感じる自然の風景、主人公が独り言のようにつぶやくモノローグ・・・ どこかで見たような・・・

新海誠監督のインタビューを聞いて、その疑問が解けました。

昔の大人気ドラマ 「北の国から」 にインスピレーションを受けたと。

私たちの世代はそこに反応したのかも知れません。

白か黒かの危うさ

物事をはっきりとさせるために白か黒かを決めることは日常的によく行なわれています。

しかしながら、歴史的な転換点で白黒つけることは非常に重要な意味を持ちます。

6月に行なわれた英国のEU離脱の国民投票。

英国のみならず、世界を揺るがす決断でありました。

結果は大方の予想を裏切り、離脱派の勝利でした。

興味深いことに、投票した英国国民のほとんどが 「えっ、まさか?」 という反応だったそうです。離脱派を強力に推し進めていた人でさえ、まさか勝つとは思っていなかったというのが本音のようです。

白か黒か、賛成か反対かという二者択一的な結果を導くための人々の思考はそれほど単純ではないと思われます。

「どちらかといえば賛成」 「○○という条件ならば賛成」 「反対ではないので賛成」 「意見はないが親しい人にお願いされたので賛成」 賛成や反対の理由は様々ですが、そのような理由は投票結果には関係ありません。

民主国家において民主的選挙の結果、すなわち目に見えた「民意」ほど強力な大義名分はないのですから。

二者択一的な決定の裏にある本音の部分を理解しないと、大義名分のみが独り歩きして一部の利権者に利用されてしまうことになりかねません。

白か黒かの決断には実はグレーを選びたい人が大半であるかもしれないという危うさがひそんでいるような気がします。

AI面接官

入社試験での書類選考を人間の代わりに人工知能(AI)が行なう企業が増えているそうです。

過去に採用した社員の履歴書などをAIが学習し、企業が求める人材の傾向を分析、合致する志望者を選び出す仕組みだそうです。

そうすることによって、人事担当者の好みといったあいまいな採用基準を排除し、公正な判断をする狙いがあるそうです。

ただ、志望者が採用に有利になりそうな虚偽の内容を履歴書に書いても、現時点でAIがそれを見抜くのは難しいそうです。

ということは、その企業の人材採用傾向を分析するAIが作成した履歴書ならば、一次書類選考はパスできる可能性が高いということです。

企業側も最終的には人間による面接が必要と考えているようですが、近い将来はAIを搭載したロボットが同じくAIを搭載したロボットを面接するということになってしまうのではないかと危惧します。

そうなれば、そもそも面接など必要もなく、企業側が求める能力のAIを搭載したロボットを発注すればいいだけの話になります。

企業の言う通りに働くロボット達のいる職場・・・

ランチタイムは充電タイムになるのでしょうか?

シン・ゴジラ

大ヒットしている映画 「シン・ゴジラ」 を観ました。

総監督・脚本はエヴァンゲリオンの庵野秀明氏。

劇場は予想外の満員で、老若男女、様々な人たちでいっぱいでした。

私の感想は想定外のおもしろさでした。

これは怪獣映画ではなく、災害シュミレーション映画です。

ゴジラは他の怪獣たちと戦って地球を救うようなゴジラではなく、人類を脅かす恐怖の象徴として描かれており、日本政府の対応が妙にリアリティーがありました。

官邸に省庁寄せ集めの対策会議を設けても 「想定外で」 と右往左往。

事態は急変しているのに、官僚の作文棒読みの報告や無駄な有識者会議のリスクをとりたがらない対応等でなかなか前へ進まない閉塞感がとても日本的であると感じました。

又、米国をはじめとした諸外国の対応も今の日本をよく表わしていると思います。

余計な恋愛や家族要素を意図的に排除して、事態の行方のみに集中できたのも好印象でした。

ただ、演出の一つだと思われますが、早口で専門用語の多いシーンは話の筋を理解するには難しく感じたことも事実です。

それがこの映画の本質をわかりにくくして、評価が二分されている理由だと思います。

そこだけがとても惜しいです。