悩んだ時はナポリ

「ナポリを見て死ね」と言われるほど風光明媚な土地として知られるイタリア南部の都市
ナポリ。

ドイツの文豪ゲーテは、しばらく文学生活から遠ざかっていた後、誰にも告げずに1人イタ
リアへ旅立ち、とりわけナポリを気に入ったそうです。

その理由は、ドイツにはない明るい景観、陽気な人々との出会いであったそうです。

ナポリはゲーテに新しい創作への活力を与えたのは確かなようです。

そのナポリの魅力とは何だろうと、かねてから気になっていたのですが、「イタリア・ナポ
リターナ楽団」の大阪公演があったので行ってきました。

この楽団はナポリ音楽とカンツォーネを演奏するために結成されたオーケストラで、打楽
器はドラムにパーカッションで、ギターとマンドリンが加わると途端にラテンムードが強ま
ります。

楽団全体がラテン系の楽しいムードで観客を楽しませてくれます。

「オー・ソレ・ミオ」は心を晴れやかにし、「サンタ・ルチア」では美しい景色が目に浮かび、
「帰れソレントへ」に胸が切なくなります。

楽しい歌でも悲しい歌でも、ナポリの音楽は「人生を肯定する」音楽であり、明日への希
望、明るい未来への期待が込められています。

「人生って何だろう?」と悩んだ時にナポリの歌と音楽を聴けば「これぞ 人生だ!」とポジ
ティブな答えに気づくのではないかと思います。

ゲーテの言葉が印象的です。

「ナポリは楽園だ。人はみな我を忘れた陶酔状態で暮らしている」

何のために働くのか?

「何のために働くのか?」  深い問いだと思います。

端的に言えば「お金を稼ぐため」ということになるのかもしれませんが、働き続ける意義とな
ると「技術を生かしたい」「お客様を幸せにしたい」といった働きがいという意味合いが強くな
るような気がします。

今年に入って入社希望者の面接を多く行っています。

30分程度の面接でその人の人格、能力等、完璧にわかることは不可能です。

10年来の友人、知人でもこんな一面があったのかと驚くことがよくあるので、人を完全に理
解することは無理なのかも知れません。

ただ入社希望者の面接となると、この人と同じ目標に向かって苦難を共にできるかという視
点でみることが多いです。

そこには「何のために働くのか?」という根本的な問いに関して「大切な人を守りたい」とい
う動機があるかどうかも重要なポイントではないかと思います。

大切な人とは、家族であったり、親、兄弟、恋人等と人それぞれです。

仕事を続けるということは、楽しいことばかりではありません。苦しい事も多々あります。

苦難にあった時、人は試されるのです。

大切な人を守りたいから、土俵際でふんばることができ、再出発できるのではないかと思い
ます。

私の尊敬する京セラの稲盛和夫さんが著書「働き方」の中で以下のように書かれています。

「私たちは自らの心を高めるために働く。
 本当に価値のある人生を送るために・・・」

少しでもその境地に近づくために、今日もしっかりと働いていこうと決意を新たにしました。

 

風立ちぬ

宮崎駿監督、5年ぶりの新作「風立ちぬ」を観ました。

「となりのトトロ」や「崖の上のポニョ」と違い、大人向きの作品です。

まず、ジブリ独特の森の表現がすばらしいです。

木々、葉、雲、光、風のディテール表現が季節感、時代の雰囲気、主人公の感情さえも的
確に表現してしまう手法は、宮崎駿監督ならではのもので圧巻でした。

又、震災から太平洋戦争へ突入する不穏な空気感と時代考証を踏まえた街並み、そこで
生活する貧しい人々の描写がリアルでした。

本当にあの頃の日本は、生きるのが辛い時代であったのだと考えさせられます。

内容はゼロ戦の設計士として知られる堀越二郎の生涯をベースとして、堀辰雄「風立ちぬ」
の純愛物語をミックスしたようなストーリーです。

ただ美しい飛行機が作りたかった天才設計士、堀越二郎。

その時代に生まれた天才が悲しい時代に利用されてしまうのです。

ゼロ戦は軽くて速い。飛行には最適。しかし防御力はないのです。

攻撃を受けるとひとたまりもありません。
 
ゼロ戦の悲劇は「永遠の0(ゼロ)」を読んで知りました。

堀越二郎もまさかそのようになるとは、夢にも思わなかったでしょう。

8月は原爆の日、終戦の日と戦争について考えることが多くなる月です。

エンドロールで流れる、荒井由美の「ひこうき雲」の歌詞が頭から離れなくなりました。

 

ぴんとこな

先日、TBS系で歌舞伎界を舞台にしたドラマ「ぴんとこな」が始まりました。

原作は100万部を超える人気漫画で、出演はKis-My-Ft2の玉森裕太、中山優馬、川島
海荷と人気スターが勢ぞろいです。

「ぴんとこな」とは歌舞伎用語で「男らしさと憎みきれない色気を併せ持つ二枚目の役柄」
という意味らしいのです。

私は完全に勘違いをしていました。

よく派出所に貼ってある指名手配犯のポスターに「この顔にピンときたら110番!」と書い
てあります。その文と同じ用法の関西系バージョン「ぴんとこな!」(意味、ピンとこないと
ダメでしょう!)とばかり思っていました。

このフレーズは、関西ではとてもポピュラーでダメ出しの場面で使われるのが多いのです。

用例としては
「あっ、あの人、女優のAさんと違う?サングラスかけててもオーラがすごいのですぐわか
ったわ。えっ、わからんかった?にぶいなー。ぴんとこな!」

だから私は、ドラマの内容を少しボケた(にぶい)役柄の人に対し、事あるごとに「ぴんとこ
な!」とつっこみを入れる関西系コメディと勝手に想像していました。

恥ずかしいかぎりです。

本物のドラマの内容は、すれ違いや勘違いの多い恋の三角関係。

ドラマを見ながら「あやめ、もっとぴんとこな!」とつっこんでいます。

酒に酔ったさま

酒に酔っている状態を的確に表現するには、どのような言葉が適正かという事を酒の席で
論じました。

このように言葉で書くと、ものすごく真面目な議論のように感じますが、たまたま飲み会の
席で話題に上がった程度です。

その席には、関西の人も関東の人もいたのですが、要約すると会話は下記のとうりです。

 関西系 「べろべろになるまで酔っぱらってしまったとか言うけどな・・・」

 関東系 「いや、ぐでんぐでんが一般的でしょう。歌にもあるし・・・」

 関西系 「ぐでんぐでんってあんまり言わへんなー。それやったらべろんべろんやろ」

 関東系 「べろべろとべろんべろんの違いはあるの?」

 関西系 「べろんべろんの方が酔っぱらっているな」

 関東系 「向うにいる人みたい?」と遠くの席の酔っぱらいを指差す。

 関西系 「いや、まだあの人はべろべろぐらいやろ。べろんべろんは何言ってるかわから
          へんし、まっすぐに歩かれへん酔っぱらいの事やで」

 関東系 「それはぐでんぐでんが正しい表現だ」

あとから考えてみると他愛もない事ですが、関西の人は表現する時に擬音語、擬態語をよ
く使うような気がします。

「カーッと暑かったので、ビールをグーッと飲んでべろんべろんになるまで酔っぱらい、次の
日にへろへろになりました。午前中のプレゼンは、ぐだぐだで、けちょんけちょんに言われま
した」

情景が目に浮かぶように思うのですが変でしょうか?

なぜ通販で買うのですか

「なぜ通販で買うのですか」という突拍子もない問いかけは、実は本のタイトルなのです。

あの有名な「通販生活」を発行している、カタログハウスの社長 斎藤駿氏が2004年に出版
した本なのですが、これが実におもしろいのです。

郵便料金を安くするために読み物をつけて有料にしたこと。

70年代に「ルームランナー」が大ヒットしたこと。

その原因を「時代の欲望を通信販売という広告にしたから」と述べています。

つまり、健康ブームだけではなく、通販ブームとの相乗効果であったと。

斎藤氏の時代を読む力、消費者の嗜好の分析は鋭く、時には論理的に、時には自虐的にな
り、読む人を飽きさせません。

そして、あのデロンギヒーターの大ヒットに結びついていきます。

元々、デロンギヒーターはさっぱり売れていない不人気商品であったそうです。

それが「寝室に置いておくと、ひと晩中ホテルに泊まっているような快適さ」というコピーが大
ヒット商品に押し上げていったそうです。

その後、ミーレの掃除機やメディカル枕等、環境を意識した商品を紹介して消費者の心を掴
んでいきます。

そこには多くの機種から1つを選んで推薦する企業の思想が感じられます。

的確な商品説明と使用者の率直な感想。

無駄な宣伝はひとつもない。

「販売とは商品の使用価値を伝える行為だ」と斎藤氏は言っています。

その斎藤駿氏が今年から社長に復帰されたそうです。

今後の活躍が期待されます。

華麗なるギャツビー

レオナルド・ディカプリオ主演の「華麗なるギャツビー」を観てきました。

舞台は1920年の好景気に沸くニューヨーク。

連日連夜、繰り広げられるド派手なパーティの主催者はディカプリオ演じるギャツビー。

しかし、誰もギャツビーの正体を知らない。

そのパーティの目的とは意外や意外・・・ネタバレになるのでやめときます。

元々、アールデコの雰囲気が大好きなので、その豪華絢爛な衣装やセットを見ているだ
けで楽しい気分になりました。

女性の衣装はプラダ、ジュエリーはティファニー、男性の衣装はブルックスブラザーズが
提供したそうです。

酒池肉林という言葉がピッタリの、ハチャメチャなムードの世界がうまく表現されており、
バブルに踊る人間の愚かな一面をかいまみせてくれます。

ちょうど映画予告で、宮崎駿監督の「風立ちぬ」が宣伝されておりました。

「大正から昭和へ、1920年代の日本は不景気と貧乏、病気、そして大震災と、まことに
生きるのに辛い時代だった」と語るナレーションにその当時の日本とアメリカの違いに改
めて驚愕させられました。

知らぬが仏

先日、毎年恒例の社員旅行に行って来ました。

夜の宴会も和気あいあいに進み、宿の人とも楽しく会話が進んでいました。

その時に当社の社員が何気なく聞きました。

「もしかして、この旅館で幽霊見た事ありますか?」

「いやー、私は見たことないですが、お客様が見たという報告はありました」

「ええー、それって特定の部屋ですか?」

「まぁ、だいたい決まってますね」

「どこの部屋ですか?」

「いやー、それはちょっと・・・」

お酒の勢いもあり、教えてほしいと頼む社員とためらう宿の人。

ついに宿の人も折れて「本当にいいんですね」と念押しし、教えてくれました。

「西館の305号室です」

「 ・・・・  その部屋は社長の部屋やん!」 叫ぶ社員と半笑いの私。

その話題はすぐに終わったのですが、寝る時に思い出しました。というより頭の片隅から
離れなかったのですね。

すると洗面所の方からポトン、ポトンとしずくの音が・・・。

完全に蛇口は止まっているのに、音だけが静寂の部屋に響きます。

となりではそんな話題も忘れているように、社員がグースカピーと眠っています。

「こわいなー」 と思っていると、全ての音が心霊現象のように聞こえてきます。

見る物全てが幽霊に見えてしまいそうなので、目も開けられません。

どうしようと思っていたら次の瞬間、朝になっていました。

知らぬが仏とはこのような事なのですね。

ボストン美術館展

アメリカで最も古い美術館の一つに数えられるボストン美術館は、1870年に設立され、ア
メリカの独立記念100周年にあたる1876年7月4日に開館しました。

ボストン美術館は、欧米最大の日本美術コレクションを所有しています。

なぜでしょう?

その答えは3人の日本美術マニアの努力のおかげです。

3人の日本美術マニアとは、明治政府のお雇い外国人のフェノロサ、ボストンの医師であ
り資産家のビゲロー、東京大学でフェノロサに学んだ岡倉天心です。

3人は日本美術に心酔し、研究と収集をはじめ、質、量ともに他に類をみないほどのコレク
ションを築いていきました。

それら日本美術の一大コレクションが5年にわたる修復期間を経て、日本に里帰りしてい
るのがボストン美術館展です。

東京を皮切りに名古屋、九州で開催され、最後が大阪でした。

混雑の中でしたが、じっくりと海を渡ったまぼろしの国宝と呼ばれる日本美術の至宝を見る
ことができました。

一つ一つの作品もすばらしいのですが、日本文化の良さを早くから理解し、広めていこうと
尽力したフェノロサ、ビゲロー、岡倉天心。

改めて彼ら3人への敬意を表するとともに、その思いがアメリカから日本に逆輸入している
ことに感動致しました。

万歩計

万歩計を買いました。

周りの人からスマホに付いているのにと言われながら「ガラケーなんです」とも言えず、ア
マゾンで買いました。

普段は何歩ぐらい歩いているのか想像もしませんでしたが、3,000~4,000歩ぐらいかな
と思っていました。

装着した初日、たまたま電車移動が多く、日頃より歩いた感じがあったのですが、結果
は驚きの12,000歩でした。

次の日も10,000歩で「けっこう歩いてるな」と自分で感心していました。

ところが車移動中心で、会議の多い日は5,000歩に急降下。

ちなみに休日に付けてみると、なんと2,000歩。

あわてて犬の散歩を長めにとり、5,000歩まで達成しました。

最低5,000歩以上で、できれば10,000歩を目指したいと心に決めました。

すると積極的に階段を利用したり、少しの距離なら歩こうとしたり、歩くことに対して意欲
的になっている自分を発見します。

普段、なかなか運動する時間がとれなかったりするので、万歩計を利用した健康法が自
分に一番合っているような気がします。