「なぜ通販で買うのですか」という突拍子もない問いかけは、実は本のタイトルなのです。
あの有名な「通販生活」を発行している、カタログハウスの社長 斎藤駿氏が2004年に出版
した本なのですが、これが実におもしろいのです。
郵便料金を安くするために読み物をつけて有料にしたこと。
70年代に「ルームランナー」が大ヒットしたこと。
その原因を「時代の欲望を通信販売という広告にしたから」と述べています。
つまり、健康ブームだけではなく、通販ブームとの相乗効果であったと。
斎藤氏の時代を読む力、消費者の嗜好の分析は鋭く、時には論理的に、時には自虐的にな
り、読む人を飽きさせません。
そして、あのデロンギヒーターの大ヒットに結びついていきます。
元々、デロンギヒーターはさっぱり売れていない不人気商品であったそうです。
それが「寝室に置いておくと、ひと晩中ホテルに泊まっているような快適さ」というコピーが大
ヒット商品に押し上げていったそうです。
その後、ミーレの掃除機やメディカル枕等、環境を意識した商品を紹介して消費者の心を掴
んでいきます。
そこには多くの機種から1つを選んで推薦する企業の思想が感じられます。
的確な商品説明と使用者の率直な感想。
無駄な宣伝はひとつもない。
「販売とは商品の使用価値を伝える行為だ」と斎藤氏は言っています。
その斎藤駿氏が今年から社長に復帰されたそうです。
今後の活躍が期待されます。