目の前にボタンがあると人は押そうかどうか、むずむずとするらしいのです。
生態心理学を専門とする東京大学の佐々木正人名誉教授は「バスやエレベーターなど重要な社会的公共物でボタンの意味を学んでいるからだ」と語ります。
ボタンを押したいというニーズに応えるため開発されたのはカプセル玩具「バス降車ボタン」です。
カプセルの中にはバスでよく見るあのボタンが1つ。押せば「次、止まります」のアナウンスが流れます。
その他にレストランなどで見かける店員の呼び出しボタンや食券のボタンなどがあり、カプセル玩具の中ではヒット商品となっています。
エレベーター用表示器を製作する島田電機製作所 (東京都八王子市) は社内に1000のボタンを展示して話題を呼んでいます。
月に最大3度開かれる工場見学の予約競争は苛烈を極め、年内はすでに予約でいっぱいだそうです。
人はなぜボタンを押したいのか。
バスでは降りる時、レストランでは人を呼ぶ時等、用がある時しか押せないボタン。
知らず知らずのうちに自制している「押したい感情」が好きな時に押せるボタンの前で表れるのかも知れません。