香港レザーフェア

先日、香港のレザーフェアに行ってきました。毎年3月下旬に開かれる香港
のレザーフェアには世界各国からの出展があり、世界のレザーの状況がよく
わかります。

皮革の世界でも中国の勢いはすさまじく、出展ブースの数では一番多かった
と思います。次いでパキスタン、イタリア、インド、ブラジル、トルコといった国
が目立っておりました。

私は日本から来た靴メーカーだと言うと、ほとんど人の反応は以下の様でした。

「昔、日本はたくさん皮革を買っていたけど、今はさっぱりだね。ところであな
たの工場はどこにあるのか?中国かね?」

彼らにとっては日本で靴を作っている事は想像もしていない事なのかも知れ
ません。

香港で売られている靴に目を向けると高級品はイタリア製、中級品はスペイ
ン製、廉価品は中国製かブラジル製でした。香港のお金持ちも最近は中国
本土からの流入組が多く、購買力においても中国の力はすごいと感じざるを
得ませんでした。
 
世界は中国を中心に回り出していると実感いたしました。

しかし、考えてみると中国人の足は日本人とよく似ているのでヨーロッパの木
型よりも日本の木型の方が合っているような気がします。しかも電気製品や食
品は日本製が好まれると聞きます。日本製の靴も中国の人に喜ばれそうな気
がします。実際に私たちの直営店には中国の人がよく買っていきます。

いつかは中国をはじめとしたアジアの人にサロンドグレーの靴をはいてもらい
たいです。

キンキーブーツ

キンキーブーツ(Kinky Boots)はイギリスのコメディ映画で、風変わりなブーツ
という意味です。

先日、その映画を観たのですが笑いあり涙ありでとってもおもしろかったです。

イギリスの田舎町のノーサンプトンにある伝統的な紳士靴メーカーの話で東
欧等からの安価な輸入品に押され、倒産寸前から驚きのアイデアで会社を
立て直していくというストーリーです。

従来の紳士靴ではないニッチな市場に参入しようと考えた二代目経営者は
靴に悩むある人たちの存在を知り、その人たちのための靴を作ろうと決意し
ました。

なんとその人たちとは女装趣味の男性で、開発したのは大の男がはいても
大丈夫なセクシーな赤のブーツだったのです。

完成までには靴職人たちとの確執や女装趣味の男性たちへの偏見等があ
り、いくつもの困難を乗り越えて、みんなの心をひとつにしてすばらしい靴を
作り上げていくプロセスがとてもうまく表現されていました。

そして遂にミラノのショーで見事成功し、会社は新しいニッチ市場を創出して
いくのです。

その映画の中で靴を作る工程がリアルに写し出されており、私にとっては見
慣れた風景であるにもかかわらず、とても新鮮に感じました。

安価な輸入品が増えている市場の中で、伝統的な靴メーカーが苦しい立場
にあるのはヨーロッパでも日本でも同じです。

この映画は、お客様の人生を豊かにするために靴の会社が懸命に努力して
成功するという点で希望ある一筋の光を照らしているような気がします。

靴関係の仕事の人はもちろん、そうでない人にもおすすめの映画です。

LED電球を買いました。

少し前より悩んでいたLED電球を買いました。

きっかけは電球交換に手間のかかる場所の電球が切れたことでした。
そこにLED電球をつければ10年間は交換しなくてすむので、これはい
いきっかけだなと思いました。

そして某家電量販店に行き、口金がE17で40Wのミニクリプトン球の
タイプを探したところ、口金タイプはすぐにわかったのですが明るさの
単位がルーメンになっており、どのくらい明るいのかさっぱり見当がつ
きませんでした。

いろいろと相談にのってもらい多分これだろうと思う商品を見つけまし
たが、思っていたよりも高く3,980円もするというのです。ここまできて
又、あきらめるのもいけないと思い買うことしました。ポイントで・・・。

ポイントで買った理由は、現金を払ってまで買おうという決意が欠け
ていたのかもしれません。

家に帰ってつけてみると明るさはちょうどよかったのですが、少しだ
け周りのミニクリプトン球と輝き方が違うような気がしました。しかし
気になるほどでもなかったので安心しました。

一安心もつかの間、家の照明のミニクリプトン球を数えてみると倒れ
そうになりました。もしそれをLED電球にすると・・・。

その夜、換えたばかりのLED電球が切れる夢をみました。

見えざる敵

リーマンショック以降、日本の消費市場が低迷しています。原因は先行
き不安感からくる消費減退、生活防衛的な観点からの低価格商品への
シフトなどが代表的なものではないでしょうか?

もちろんそれらの原因に異論はありません。

しかし、何かそれ以外の原因があるような気がしてなりませんでした。

最近、若い人たちが「クルマを持つことはムダ」「外食はムダ」といった
ことをよく口にします。確かにクルマや外食は経済的に費用がかかるの
は事実です。

又、地方でブランド物のバッグを購入した人が、ご近所にみられるのが
気になるので、わざわざそのブランドの紙袋ではなく普通の紙袋に入れ
て帰ったそうです。

消費することが悪いことであるかのような「嫌消費」のムードが人々を
萎縮させているのではないかと思います。

もちろん、過剰な消費はいけないけれども人生を豊かなものにするため
の適正な消費は当然あってもいいと思うのです。

モノの価値だけではなく、そこに付帯するサービスやその後のライフス
タイルの充実にこそ消費の真髄があるのではないかと思います。

悩まない悩み

先日、知り合いの大学教授から興味深い話を聞きました。あるテーマにつ
いて学生にレポートを提出させたところ、80%ぐらいの学生の答案が同じ
であったらしのです。

その大学教授は、ある1人の学生のレポートが出回ったのではと推測し、
学生に問いただしたところ、全ての学生は自力でレポートを作成したと言
います。その言葉にうそはなかったらしいのです。

真相はこうです。そのテーマでネット検索すると参考となる資料が数多く
出てくるのですが、上位3つぐらいまでをうまく組み合わせるとその答案
の内容になるそうです。部分的な言い回しは少し違うのですが、大体の
内容は同じになるのです。つまり学生たちはお互いに相談したのではな
く、同じ情報源を使ってレポートを作成したということです。

知識や情報を得るということではネット検索は大変有効であると思います
が、勉強をするということは物事を自分なりに観察、推理、検証し思考を
深めていく作業だと思います。最後の結論に到達するまではいろいろと
考え、仮説、検証の繰り返しを経て、自分なりの答えを導いていきます。
言うなれば結果よりもそこに至るまでの長くて苦しい道のりの作業過程
にこそ意味があるのではないかと思うのです。

検索すれば悩まなくてもすぐに結果が出てしまうことが現代人にとって大
きな落とし穴になってしまうのではないでしょうか?最近、情報量、知識量
はすごいのに人間としての深みがないという人に出会うことがあります。
多分その人は悩むことなく結果のみを得ているのでしょう。

悩みは成長の糧であると、全ての悩んでいる人にエールを送りたいです。

LED電球

LED電球を買おうかと迷っています。

LED電球の長所はたくさんあります。10年以上もつので電球を交換
する手間が格段に減ります。次に省エネです。電気代も安く、二酸化
炭素も削減し地球にやさしいです。そして電球の機能として欠かせな
い明るさもすぐれています。

長所を述べればキリがないくらいですが、買うのをためらっています。
先日もLED電球コーナーの前でしばらく悩みましたが、買いませんで
した。

なぜでしょう?

それは価格です。

とてもすばらしい商品であることはわかっているのですが、普通の電
球なら100円くらいのものが3,000円くらいするというのがなぜか腑に
落ちないのです。もう少し待てば安くなるのかも知れないという期待
もあります。

もうすぐ買い置き用の電球ストックがなくなります。電球が切れるたび
に決断のリミットがせまりくる感じです。

ああ もう時間がない と自分を追いつめているいるうちに3,000円分く
らい疲れている自分に気づき、考えるのを止めました。

蕎麦屋で感じる「粋」

先日、東京でお客様と一緒に夜、蕎麦屋さんに行きました。驚いたことに東京
の蕎麦屋さんは昼の顔と夜の顔が全然違います。

私を含め関西の人は、そばは手軽な昼食というイメージで、うどんや丼と同じ
選択肢ではないかと思います。だから夜に蕎麦屋さんに行くことはほとんどな
かったと思います。

東京の蕎麦屋さんの夜の顔は、大人のための静かな和風居酒屋です。一人
又は二人で静かに酒と肴をいただく空間で、騒いでいる客はいません。

まさに「粋」な世界です。

酒肴も板わさ、焼みそ等、関東では定番メニューらしいですが、関西の人にと
っては何なのか想像もつかないものが多いです。一人気ままに手酌でお酒を
飲んでいる人が多く、静かに読書しながら飲んでいる人もいます。皆、一様に
リラックスをして一人の時間を楽しんでいる様でした。

ひととうり、お酒を楽しんだ後に「せいろ」と呼ばれるざるそばを最後に食べる
のが一般的な食べ方のようです。お茶漬けかラーメンなどの温かいものを締
めに食べると思っていた私にとって意外でありましたが、BGMもない凛とした
空間で背筋をピンと伸ばして食す締めの蕎麦は格別な味でした。

そういえば昔、東京の知人に休日の楽しみは何ですかと聞いたところ、「昼の
3時ぐらいから蕎麦屋で日本酒を一杯やりながら池波正太郎の時代小説を読
むこと」と言っていたのを思いだいました。聞いた時は全然イメージがわかなか
ったのですが、今はとてもよくわかる気がします。

一度やってみたいのですが、残念ながら大阪でそのような店はないかもしれま
せん。

サムスングループ 強さの秘密

サムスングループは韓国最大の企業グループで電子、機械、化学、金融、建設等
あらゆる事業を展開している世界的企業です。

企業の成長過程をみると、その時代にあったものを作って売るという手法で、ニー
ズを読みとる力とマーケティング力に非常にすぐれているのがよくわかります。

先日、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイに高さ828メートルの超高層ビル「ブルジュ
ハリファ」が完成し、世界の注目を集めました。

あまり日本では報道されませんでしたが、その「ブルジュハリファ」の統括施工業
者がサムスングループのサムスン物産だったのです。

サムスン物産は世界3位の超高層ビルであるマレーシアのペトロナスツインタワー
のタワー2を建設した実績があります。(ちなみにタワー1は日本のハザマ)

「ブルジュハリファ」の建設では初の人工衛星による測量や工期短縮のためにさま
ざまな新しい工法が導入されたそうです。又、作業員もさまざまな国から集められた
のでトラブルのないように、毎朝7時のミーティングと毎週木曜日の親睦ビールパー
ティーは欠かさず行われていたそうです。

又、サムスングループには地域専門家制度というおもしろい制度があります。それ
は南米やアフリカの辺境地に社員を1年間遊学させるという制度です。1年間、会社
のお金でその地域に住んで、いろいろと文化とニーズを学びとることを目的としたも
のです。

1年間、その地域で暮らすと人々の生活、習慣、風土、宗教等が生活レベルでよく
理解され、どのような製品が必要とされるのかがよくわかるのです。

その情報を本社に持ち帰り、製品を開発し現地駐在責任者として再度その地に赴
任し、販売にたずさわるという仕組みです。

日本や欧米の企業が行かないような未開の地が多いため、圧倒的なシェアを握る
ことも多いようです。このようにサムスンは海外市場向けの人材を豊富に育成して
います。

文字通りグローバル企業であるサムスンが、日本ではあまり販売実績がありませ
ん。それは日本の家電メーカーが強いのでシェアを奪うことがむずかしいのです。
しかし、携帯電話を中心に攻勢に出てくるのは間違いないと思います。

今後のサムスン製品に注目していきたいです。

鉄人28号

先日、神戸の新長田という街に行ってきました。

ちょうど15年前の1995年1月17日に、阪神淡路大震災という未曾有
の災害により壊滅的な打撃をうけた街です。

今ではすっかりと街並みも復興し、人のにぎわいも戻りつつあります。

その復興の象徴として、巨大な鉄人28号モニュメントがJR新長田駅
前に建てられておりました。

高さ18m 重量50トンという超ビッグサイズの鋼鉄製モニュメントで思
わず息をのむほどのスケール感です。大きさだけでなく力強いポーズ、
表情、質感等どれをとってもすばらしい完成度でした。

又、その製作過程のストーリーを近くのギャラリーで上映していて、復
興にかける神戸の人たちの情熱と、それにこたえようとする工場の人
たちの気持ちがひしひしと伝わり、とても感動的でした。

そもそも、このプロジェクトは神戸出身の漫画家、横山光輝氏の代表
作の1つが「鉄人28号」であったことから始まりました。又、「三国志」
も横山光輝氏の代表作であることから、新長田近辺に三国志の英雄
達の石像がたくさんありました。

私も三国志の熱烈なファンの一人でありますので、今度はもっとゆっく
りと時間をとって訪れてみたいと思っています。

鉄人と三国志に出会える街、新長田へみなさんも是非、足を運んでは
いかがでしょう。

マロニーちゃん

「秘密のケンミンSHOW」というテレビ番組が好きです。人気番組なのでご存知
の方も多いと思いますが、それぞれの都道府県の秘密をカミングアウトするとい
う内容です。

この番組をみていると日本はせまい国土なのにたくさんの風土、習慣があり、こ
れだけの情報化社会であるのに、その地域のみでしか流行していない事がたく
さんあるのに驚かされます。

特に大阪は番組内でも「ヒミツのOSAKA」というコーナーがあるくらい、他の地
方からみると秘密がいっぱいなのかもしれません。大阪に住んでいる者にとって
は逆に「それって大阪だけなのか」と思うことが多々あります。

「味付け海苔」が他の地方にはなかったり、「ヘレ肉」といっているのは関西だけ
であったり驚くことがいっぱいです。

そして、先日の「秘密のケンミンSHOW」で今までみた中で一番衝撃的な事実
を知りました。それは大阪では鍋料理には「しらたき」のかわりに「マロニー」を
入れると驚きをもって放送されたことです。

大阪人は鍋に「マロニー」を当然のように入れます。そして、当たり前のように全
国でもそうしていると思っていました。しかし、それが大阪ローカルの食習慣であ
ったという事実と、今まで気づかなかったという事実は私にとってかなり衝撃的
でありました。

そう思うと今まで当たり前と思っていたことが、他地方の人からみると不思議な
ことであることが少なくないかも知れません。

そういえば、大阪人は「マロニー」のことをなぜか「マロニーちゃん」といいます。
「あめ」のことを「あめちゃん」というように・・・  大阪、不思議です。