はじめての感想文

先日、今年読んだ本の中で一番感銘を受けた本に出会いました。

「人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなく
はない」という長いタイトルの本です。

幻冬舎社長 見城徹さんとサイバーエージェント社長 藤田晋さんの共著で、昨年に出版
された「憂鬱でなければ、仕事じゃない」の第二弾です。

「憂鬱でなければ、仕事じゃない」は18万部のベストセラーとなったのですが、第二弾の
タイトルが前作のタイトルを何ら踏襲せず、覚えやすくもなく、とても長いタイトルを付けて
います。過去の成功体験と一線を画す覚悟が出ていてとても新鮮だと思います。

そもそも幻冬舎の社長の本がライバルの講談社から出版されて、ベストセラーになること
自体が型破りな感じがします。

この本は二人の社長のモノの見方、考え方がよく表現されており、人生をどう生きるかと
いう示唆にとんでいます。

特にこの長いタイトルは人の内面をよくとらえ、どのような心構えで仕事に取り組んでいく
べきかを教えてくれています。

「人は自分が評価されていないと思うと、すぐに肩を落とす。しかしそれは過剰反応だ。
努力をみている人は必ずいる。その事実は、努力が実った時にしかわからない。(原文
のまま)」

他人に評価されないとくじけてしまい、その努力をやめてしまいがちになります。

しかしそこで努力をやめてしまうと、すべて終わってしまいます。

努力を重ねることで誰かが気づいてくれます。

くじけずにがんばりぬき、努力を続けることが大事であり、それを支える心の支柱が上記
の考え方ではないかと思っています。

あまりに感激してしまったので、人生で初めての感想文を見城社長あてに書いてしまい
ました。

するとすぐさま、お礼の手紙をいただきました。

さすが素晴らしい人は気づかいが違うとあらためて思いました。

テルマエ・ロマエ

話題の大人気コミック「テルマエ・ロマエ」を読みました。

マンガ大賞と手塚治虫文化賞短編賞を史上初のW受賞した「テルマエ・ロマエ」は、シリー
ズ累計500万部を突破した超人気爆笑コミックです。

古代ローマ帝国の風呂専門の設計技師ルシウスは、浴場のアイデアについて悩みまくり、
現代日本へタイムスリップしてしまいます。

そこでルシウスは日本の優れた風呂文化に衝撃を受け、次々とそのアイデアを使ってロー
マに新しい浴場を作っていくというストーリーです。

古代ローマ人と日本人はお風呂が大好きという共通点があります。

単に体をきれいにするだけではなく、癒すために入る風呂文化。

ここに気付く作者の視点がすばらしいと思います。

作者はヤマザキマリさんという女性で、17歳からずっと海外に暮らし、夫はイタリア人という
プロフィールです。

そのような環境が風呂を比較文化論的に考える視点につながったのではないかと思います。

又、古代ローマ皇帝が市内のいたるところに大浴場を建設し、民衆の支持を得ようとしてお
風呂を政治的に利用していたことも興味深いところです。

いよいよこの「テルマエ・ロマエ」が映画となり、4月28日(土)より公開されます。

古代ローマ人役には阿部寛さん、市村正親さん、北村一輝さん、宍戸開さんといった日本
映画界の選りすぐりの濃い顔のキャストが勢ぞろいです。

平たい顔族(日本人)には上戸彩さん、笹野高史さんといったうすい顔の俳優さん達で、奇
跡のキャスティングといわれています。

ストーリーのおもしろさとともに、キャスト陣の顔の濃い、うすいの比較も見所のひとつだと
思います。

ONE PIECE

最近、漫画ワンピースを全64巻 完読しました。

きっかけはある人材会社の方が言った言葉です。

「今の若い人は偉人の伝記を読まない。だから二宮尊徳やリンカーンの例え話に反応し
ない。しかし、ワンピースは9割ぐらいの若者が読んでいる・・・」

ほとんどの若い人が読んでいるワンピースってどんなものだろうという好奇心から甥っ子
から全巻借りて読みました。

少年漫画なので軽いタッチの内容かと思いきや、本質的な部分は義理と人情の世界で
仲間のためなら自らの犠牲をもかえりみないという骨太の内容でした。

脚本のスケールも大きく、登場人物のキャラがよく際立っており、その各々に背景がしっ
かりとあるのです。

基本的には海賊の話なので現実離れしていますが、そこには現代社会の縮図となる構
図の中で展開される人間の善と悪、その中で主人公のルフィが仲間に支えられながら強
くなっていく過程がとても興味深いのです。

リーダーはこうあるべきだなと教えられます。

この漫画から人の関わりの薄くなった世の中で、仲間を大事にしたいという気持ちを若い
人たちが強く持っていることを教えられた気がします。

ほこたての矛盾

「ほこたて」というTV番組が好きです。

どんな盾(たて)でもつきやぶる矛(ほこ)とどんな矛(ほこ)でもつきやぶれない盾(たて)が存
在することから「矛盾」という言葉が生まれました。

そのように世界に存在する相反する「絶対に○○なもの」同士を戦わせて決着をつけると
いうバラエティ番組です。

以前は深夜枠だったのにゴールデンタイムに出世したようです。

絶対に穴の開かない金属と、どんな金属にも穴を開けられるドリル対決は圧巻でした。

開発者と会社のプライドをかけた男たちの闘いという感じがして、思わずどちらかに肩入
れして熱く応援してしまいます。

何でも破壊する鉄球と絶対に壊れない壁対決も熱き男の闘いで、制限時間ぎりぎりで鉄
球が壁を砕き、鉄球の勝利となりました。

しかしながら、少し疑問のもつ対決もあります。

絶対にしいたけが食べられない人(勝村政信さん)と、どんな人でも食べられるしいたけと
の対決などがそうでしょう。

しいたけ嫌いのポイント(食感、ぬめり等)をなくした万人受けするしいたけらしいのですが、
しいたけらしさをなくしたしいたけはしいたけといえるのかという疑問がわいてきます。

会場の雰囲気はこのしいたけなら勝村さんでも食べられるでしょうというムードに支配され、
勝村さんにしいたけ嫌いを克服してほしいという、熱血感動ドラマのようになっていました。

勝村さんにとっては完全にアウェーでした。

勝村さんが一口を食べ、判定はいかにと誰もが固唾をのんでいました。

結果は「ごめんなさい」で克服できませんでした。

私はなぜかホッとしました。

食べ物の好き嫌いは深く問いただしても明確な理由はなく、つきつめると「しいたけだから
嫌い」ということだと思います。

私もきゅうりが苦手で、いくらきゅうりの青臭さや食感が違うものになったとしてもやはりダ
メだと思います。

勝村さんのコメントが全てを物語っています。

「しいたけが好きな人だけが食べればいいじゃないか!」

そのとうり!

耳つぼダイエットの怪

先日、すごい話を記事で読みました。

耳つぼダイエットに成功した人のはなしです。

耳つぼダイエットというのは、耳のつぼを刺激することで自然に食欲を抑える効果がある
そうです。

具体的には、耳つぼを押す粒のついたシールを耳にはるだけで、インシュリンの分泌量
を正常に戻し、健康で太りにくい体質に改善するというかなりお手軽なダイエットです。

その人のはなしによると、まずは妙齢の優しい女性施術師による詳細なカウンセリング
のあと、耳つぼダイエットのシールをはってもらうそうです。あとは普通の生活をすればい
いのだそうです。

そして1週間後、2回目の施術を受けに行きました。

そこで事態は急変します。

体重がほとんど変わっていないのを知った女性施術師は烈火のごとく怒り出したそうで
す。カウンセリング時の優しさは微塵も感じさせず、やせていないことを激しく罵倒された
そうです。

その激しさはものすごい迫力で背筋の凍る思いだったそうです。

トラウマになるまで罵倒されたその人は次回の施術までの間、必死に走りこみ、食事制
限をして死ぬ思いで体重を減らしていきました。

恐る恐る行った3回目の施術時、数kgの減量に成功したその人に女性施術師はカウンセ
リング時の優しい表情でその結果をほめたそうです。

その後、その人は二度と罵倒されたくないという思いから、走りこみと食事制限で劇的な
ダイエットに成功したそうです。

果たしてこれは耳つぼダイエットなのかという疑問がわいてきますが、その人はあの恐怖
の体験を二度としたくないという思いからリバウンドもなく、体型を維持しているそうです。

これはある人の体験談の記事であって、耳つぼダイエットを否定、批判するような意図は
ありませんので・・・。

マラソンブーム

新年の華やいだ雰囲気も一段落し、今年来た年賀状を整理する時期です。

年賀状という習慣は、日本独特のものではないかと思います。

若い人はメールであいさつをするケースが多くなっているので、年々年賀状の量は
減っているといえども36億枚以上出されているようです。

年賀状は長い間会っていない友人たちの近況がわかるので、個人的には好きな習
慣です。

しかしながら「なぜか続いている年賀状だけの知人」「出そうか出さないかといつも
迷う人」「そして出さないと決めた人から来る年賀状」「出しとけばよかったなぁと思
う後悔」・・・そのような事を毎年くり返している習慣でもあります。

今年の年賀状ではひとつ特徴的なことがありました。

私の周りの友人、知人に「マラソンブーム」が起きているのです。

「フルマラソン完走しました」「次はタイムアップを目標に」と体力の衰えを感じつつも
前向きにチャレンジするコメントばかりでした。

もちろん、それぞれの友人、知人同士は面識もありません。

ということは、日本中でみると、私の予想以上に本当にたくさんの人がマラソンをして
いるということなのではと推測しています。

そして興味深いことに、ほとんど人がマラソンを始めたことを後悔せずに次への目標
を明るく語ります。

実際はとてもつらいと思うのですが、走っている瞬間やゴールした時の達成感はそれ
をも凌駕するぐらいの満足感があるのだと思います。

ブームが去った頃、「マラソンはじめました」と言っている自分がいそうでこわいです。

希望的観測のわな

先日、作家の浅田次郎さんの講演を聞く機会がありました。

浅田次郎さんは直木賞を受賞した「鉄道員」(ぽっぽや)をはじめ、多数著書を執筆し、人
情味あふれる作風は多くのファンから愛されています。

題材は、現代からさかのぼること150年間の話に限定しており、日本のみならず中国を
舞台にした小説も数多いです。

その浅田さんが日本のメンタリティは希望的観測に基づくものが多いと言っていました。

問題が起こると、これ以上に悪くなることはないだろうという根拠のない前提からはじま
り、「こうなってほしいな」「多分こうなるだろう」「きっとこうなる」「こうなるに違いない」と
論議を深めるたびに変化していくというのです。

そこには、責任をとりたくない気持ちや変化に対応することに億劫な気持ちに支配され
つつある人間の内面があり、安易に希望的観測にのってしまいがちな気質が日本人に
はあるというのです。

それは、常に隣国からの侵略におびえて、最悪のシナリオを現実的なものとしてイメー
ジして生きてきた中国大陸や、ヨーロッパの人々のメンタリティとは大きな差があるとい
うのです。

歴史的にみても、日本は実質的な他国の侵略を受けていない大変珍しい国であるとい
えます。

そこで生まれ育った日本人は、ある意味平和慣れしています。

それが悪いとは思いませんが、問題に対処する際にはくれぐれも安易な希望的観測に
のらないように注意しなければならないと思います。

妖怪人間ベム

闇にかくれて生きる 俺たちゃ妖怪人間なのさ
人に姿をみせられぬ けもののようなこのからだ

早く人間になりたーい!!

昭和の人にとってはなんとも懐かしくもコワーいアニメの主題歌です。

このアニメの実写版が高視聴率をキープし、話題を呼んでいます。

昔のアニメをみていた方は、亀梨くんのベムはかっこよすぎ、福くんのベロはかわいす
ぎ、杏さんのべラははまりすぎと思っているのではないでしょうか?

キャスティングの賛否はいろいろとあると思いますが、アニメを忠実に再現するというよ
りもつっこみどころ満載のリメイクの手法が新鮮です。

特筆すべきはベラでしょう。

女王様的な高飛車な物言い、世間体など一切気にしない行動は目に見えない社会的
ルールや規範にしばられて生きる現代人にとっては、一種の憧れではないでしょうか?

忘れてはいけないのは脚本の良さでしょう。

人間でない妖怪人間との触れ合いにより、本来人間が持っている倫理観や道徳観をと
りもどしていくというストーリーは単純明快であり、今の社会のムードによくあっていると
思います。

はからずも同局でのドラマ「家政婦のミタ」で松嶋菜々子演じるミタも、完全に人間離れ
しているキャラが人間を再生させる点では同じ視点であると思います。

今の閉塞感のある社会を立て直すには、超人的なキャラが必要ということでしょうか?

姜尚中氏の印象

先日、姜尚中(カン・サンジュン)氏の講演を聞く機会がありました。

姜尚中氏はテレビ、ラジオ、新聞等のマスコミに多数出演し、有名な方であるので一度、
生で話を聞いてみたいと思っていました。

専攻が政治学、政治思想学という堅い分野であるにもかかわらず、絶大な人気を誇るの
はスマートな風貌と物腰のやわらかい語り口調にあると思います。

実際の講演は、原稿を一切見ずに自らの考えを非常に論理的にわかりやすく、ていねい
に聴衆に語りかけるものでした。

とても頭の切れる方だなという印象を受けました。

幸いにも講演後、少しだけお話をする機会がありました。

笑顔が素敵で想いが熱く、握手がとても力強かったのが大変印象に残っています。東京
大学の教授であるのに全然インテリ臭いところがなく気さくな人柄のように思えました。

テレビなどではあまり笑わないので少し冷たい印象を持たれている人も多いかもしれませ
んが、実際はハートの熱い九州男児で、イメージとはかなり違うと思います。

姜尚中氏は東京大学の学生を含め、海外へ留学しようという若者が少ないことに大変危
惧を抱いておりました。

それにくらべて、海外から日本へ留学してくる学生の熱意と能力がすごく高いのに驚か
れていました。

欧州や米国が以前のような勢いがない中、日本、中国、韓国といった国が集まる東アジ
ア地域の重要性がますます高まってくるだろうと氏は主張しています。

日本の若者の奮起に期待したいものです。

見えすぎちゃって困るの

昭和の方ならわかる人もいるかもしれませんが「見えすぎちゃって困るの~」とセク
シーな女性が歌っているマスプロアンテナのTVCMがありました。

全くCMとは何の関係もないのですが、最近コンタクトレンズの調子が悪く、眼科医
に行きました。

少し視力が悪くなっているらしく、きき目である右側だけコンタクトレンズの度を2段
階アップしました。

コンタクトレンズをつけたことがある方ならわかると思いますが、周りの風景が明るく
鮮明になりました。

「これはよく見えるわー」とよろこんでいました。

しかし、1日中つけていると目の奥がドヨーンと重く感じられ、頭も少し痛くなりました。

慣れるかなと思い次の日もつけてみましたが症状は変わらず、眼科医と相談して元
の度に戻しました。

数日間の試行錯誤の日々は、なぜか「見えすぎちゃって困るの~」というTVCMの
歌が頭の中でヘビーローテーションしていました。

結局、元の少しぼやけた世界に逆もどりしたわけですが、年齢を重ねるとはっきりと
物事がみえない方がいい時もあるかもと哲学的に考えるようになりました。