つまらない会話の理由

出張帰りの大阪伊丹空港で預けた荷物を待っていた時でした。

私の座っていた目の前で、年の頃は30すぎぐらいの男性同士が周りの人が少しびっくり
するくらいの大きな声で叫んでいました。

 「おっおー・・・ 久しぶりやなー」

 「ええー マジで・・・ びっくりしたわー」

 二人は偶然の再会を本当に驚いているようでした。

 「えー なんでこんなとこおるの?」

 「飛行機乗っててん」

「あたり前やろ」 と私は心の中でツッコミを入れながら話を聞いていました。

すると驚きの言葉はたくさん出るのに、会話の内容はいまいち盛り上がってきません。
他愛のない内容の会話が延々と続くのです。

荷物が出てくるまでヒマだったので会話を聞いていたのですが、もしやと思うところがあり
ました。

この二人、お互いに名前を忘れているのでは・・・。

学校の卒業以来十数年ぶりに偶然会ったものの、名前が思い出せない。それほど親しく
なかったのでお互いの近況も知らない。荷物が出てくるまで、その場を離れるわけにはい
かない。もちろん、名前を忘れたとはお互い言える雰囲気ではない。

そのような諸条件が重なり、不毛な会話が続けられたのではないかと推測しました。

私の荷物が先に出てきたので、その後二人がどうなったかわかりませんが、旧友に電話
して 「あいつの名前何やったかな?思い出すまで今日寝られへんわ」 と言っているので
はと想像しました。