不便が新鮮

「映え」にこだわるのはもう古いという考え方で開発された使い切りカメラのようなスマートフォンアプリが10代から20代前半の「Z世代」を中心に浸透しています。

このアプリは「Dispo(ディスポ)」英語のディスポーザブル(使い捨て)の略です。

画面全体で被写体を見る通常のスマホカメラとは違い、画面上に現れる狭いファインダーをのぞいてシャッターボタンを押して撮影します。ズームやフラッシュ機能はありますが、撮影後に明るさや色調を調整して画像の印象を変えるといった加工はできず、操作はいたってシンプルです。

そして最大の特長は、撮った画像が翌朝9時まで「現像中」と表示されて、すぐには見られない点です。

一見不便に思えるこのアプリ、人気の秘密は何でしょう?

若い世代にとってインスタ等に投稿される写真はアングルや加工にこだわった「作品」であり、そこに注がれる労力は計り知れません。

一方、ディスポは撮り直しなし、一発勝負の「撮って出し」

人が見切れたり、目を閉じてしまったりという失敗も出てきますが、それはそれで良い思い出となります。

加工や編集が当たり前のデジタルネィティブ世代にとって「完璧な自分」ではなく「ありのままの自分」を見せられることが新鮮で受け入れられているのかも知れません。