2050年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにすると表明した日本。
この目標は産業や社会構造の大転換を迫ろうとしています。
そこで注目されているのが水素です。
水素は燃やしても二酸化炭素(CO₂) を出さず、水を電気分解すれば無限に作れます。
水素はこれまで高いコストが利活用を阻んできましたが、大量の水素を消費できる仕組みを作ればコストも下げられるのです。
例えば火力発電所で水素を燃料として使ったり、水素を使った燃料電池で乗用車、バス、トラックを動かしたりすると低炭素化も図れます。
いいことずくめの水素ですが、日本政府は2030年の電源構成では水素の活用を想定していません。
それにくらべて世界各国は水素の可能性に注目し、政策も総動員しながら大胆な取組みを進めています。
欧州連合(EU) は2050年に世界のエネルギー需要の24%を水素が担うとみて官民で研究開発やインフラ整備を進め、燃料電池で動く列車の導入も始めています。
日本政府は来年まとめる新計画でどこまで水素を活用する覚悟であるか、2050年実質ゼロの成否を左右します。