人に会うよろこび

新型コロナの影響でリモートワークが盛んです。

得意先とのオンライン会議もだんだんとあたり前になってきて、会わなくても仕事が回っていくものなのかと思ってしまいます。

でも何か違う、何か物足りない感じがするのです。

オンラインで話すことと実際に話すことは何が違うのでしょう?

ある人類学者によると、人間は他者への信頼は視覚と聴覚だけではなく、嗅覚とか味覚とか触覚とかの感覚も使って築くものらしいのです。

又、京都大学総長の山極氏は人間というものを以下の様に分析しています。

人間の視覚と聴覚を使って他者と会話すると、脳で「つながった」と錯覚するのですが、それだけでは信頼関係はできないのです。なぜなら人は五感のすべてを使って他者を信頼するようになる生き物だからです。

そのとき鍵になるのが嗅覚や味覚、触覚といった本来「共有できない感覚」なのだそうで、他者の匂い、一緒に食べる食事の味、触れる肌の感覚、そうしたものが他者との信頼関係を築く上で重要なのだと言っています。

他者を信頼するという極めて人間的な行為が極めて動物的な感覚によってのみ築かれているのです。

オンラインでの物足りなさの正体はこれなのかも知れません。

信頼できる人と三密を気にせず共に食事をして笑い、語り合うそんな日常がとても恋しく感じます。

「人に会うよろこび」今しばらくは我慢しなければなりませんが、大切にしたい気持ちです。