超絶技巧!

先日、三井記念美術館で開催している 「超絶技巧!明治工芸の粋-村田コレクション
一挙公開-」 という展覧会に行ってきました。
今まで工芸品というジャンルにはあまり興味を持っていなかったのですが、技術の高さ、
独創性、職人の心意気等、すべてにおいて度肝を抜かれるくらい感動し、今年観た展
覧会ではまちがいなくナンバーワンだと思います。
明治時代の工芸品は、ほとんどが海外輸出用であったため、日本にはほとんど残って
いません。
その当時から海外の評価は高かったのですが、名品のほとんどが海外のコレクターが
所有していたので、日本ではあまり注目されませんでした。
1980年代後半、村田理如氏 (村田製作所創業者の子) が海外で明治の工芸品に出会
い、この明治工芸の驚くべき達成を日本人に知らしめたいという熱意を持って収集をはじ
めたそうです。
村田氏は四半世紀ほどの間にオークション等を通じて、それらを買い戻し、現在約1万点
を超す質の高いコレクションになり、京都の清水三年坂美術館で常設展示しています。
そこで、なぜ明治の美術品が素晴しいのかという疑問がうかんできます。
江戸時代は戦もなく平和な時代でした。大名たちはお抱えの職人たちに調度品や武具
を作らせていましたが、実用的なものから装飾的なものになっていき、芸術の域に達した
のではないかと思います。
その後、明治維新を経て失業対策と外貨獲得のため、超絶技巧を生かした輸出用工芸
品作りにシフトしていったと思われます。
そこには大量生産にはない根気のいる精巧さと独創的なアイデア、繊細さが絶対必要で
あり、当時の日本人職人のプライドをひしひしと感じます。
美術、芸術に興味のない人でも、これらの作品を目の前にすれば理屈ぬきで「すごい!」
と感じると思うので、機会があれば是非、実物をみていただきたいです。