志はどこへ?

昔から、時々行っていたお寿司をメインにした和食屋さんのはなしです。
その日は連休中でもあり、かなり混んでいてカウンター席に通されました。
お店の大将とは十数年前のオープン当初から来ているので顔なじみです。
おそらく、私と年齢は近いと思われるので、30代半ばで独立してお店を持ったのだと
思います。
オープンから数年は段取りが悪いのか、手間をかけすぎなのか、料理の出てくるのが
遅く、よくお客さんから怒られていました。
しかし、数年もすると大将もホール係の人も慣れてきて、料理を待つことは少なくなり
ました。
久しぶりのカウンター席なので、大将に話しかけてみました。
「今日の魚のおすすめは何ですか?」
「ええっと・・・何ですかね・・・」
あまり要領を得ない、手は速く動くが仕事が雑に見えた。
よく見ると、まな板や包丁の手入れも行き届いていない。
「ああ・・・この人は志を失ってしまったな。オープン当初は不器用だけども、一生懸命
さがあり、お客さんにおいしい魚を食べてもらいたいという気概だけは感じていたのに
・・・」
忙しさの中で目の前の仕事をこなすことだけに懸命になり、一番大事な志を失ってしま
ったようです。
仕事で輝いている人は、志を失ってはいません。
「何のために自分は働いているのか」 再度、自分に問い直してみたいと思います。