飢餓感

「今の若者は・・・」という世代間ギャップの話題はどの時代でも論議されてきたと思い
ます。

私の若い頃は「新人類」という言葉がはやり、その当時のオジサンたちは私達を全く
価値観の違う人種であるかのように分類していました。

その新人類とカテゴライズされた私達が今の若者はうんぬんというのはおかしな話だ
と思うのですが、育ってきた時代を冷静にみつめながら分析してみたいと思います。

今の若者の育ってきた環境は、それなりに充足している環境であったと思います。

よほどのぜいたくを望まなければ、それほどお金をかけなくても相応の快適な暮らしが
できる時代です。

おまけに学校では競争のない平和で仲の良い関係が保たれ、突出して何かをするこ
とがしにくい状況であったと思います。

だから好奇心というものが弱体化して車や異性、海外旅行という昔の若者の好奇の対
象に何ら興味を示さなくなってしまったのではないでしょうか?

何かを外部に求めること、探すこと、出会うことは好奇心から生まれてきます。しかしそ
こには傷つくこと、失望することも高い確率で発生します。

それは面倒くさいことなのでしょう。

何かを得たい、知りたいという欲求が高まらなければ行動を起こす意味すらもわからな
いでしょう。

しかしながら、今の若者のいいところもいっぱいあります。

環境保護に対して関心は高いし、暴力、差別、ケンカを嫌悪しボランティア精神も旺盛
な人が多いです。

でもそれだけでいいのかなと思うのです。

充足している環境は、動物園の中の猛獣のように飢餓感のない野生を忘れた生命体
を生みだしていきます。

飢餓感のなさを草食系といううまい言葉で表現しています。

「せっかく人間に生まれてきたのにもったいない」と妖怪人間に言われそうです。