涙のシュークリーム

出張先のある夜、翌日の朝食を買おうとコンビニに寄った時の話です。

ついでにプリンも買おうと思ったのですが、お気に入りのプリンがなかったのでや
めようか思ったところ、その横においしそうなシュークリームを発見しました。

「今日はプリンではなくシュークリームにしよう」と思い、かごに入れレジに向かい
ました。

レジで精算しようとしたところ、そのシュークリームだけバーコードが異常な音をた
て、反応したのです。

「お客さん、このシュークリーム ダメですね。消費期限が切れています。」と店員さ
んが言いました。

そのシュークリームを見てみると、約1時間前に消費期限が切れていました。

「別にいいけど・・・。」と言いそうになった時、別の店員さんが陳列棚の方で叫びま
した。

「最後の1個のようです。」

買えませんオーラを出す店員さんの前で、私は「わかりました。」と、ものわかりの
いいお客を演じざるを得ませんでした。

でも心の中では違っていました。

「1時間ぐらいやったら大丈夫でしょう。消費期限切れはどうせ捨てるのだから売っ
てくれてもいいのに。店の売上は上がるし、お客さんも楽しい夜が過ごせるし、おま
けに環境にもやさしいし・・・」と愚痴っぽく考えていました。

シュークリームの入っていないコンビニ袋を持った背中が、店員さんにはさびしそう
に見えたかもしれません。