関西の近鉄百貨店が農業ビジネスに参入します。
2023年2月期に大阪府南部の南河内地域に約6000平方メートルの農地を選定し、イチゴ栽培を始める予定です。
農業を手がける事業者と提携して生産設備や栽培システム、苗や肥料、梱包資材といった原材料などの提供を受けます。
実際の栽培は近鉄百貨店の社員やアルバイトなどで行う方針です。
1パック250グラムあたり600~1500円ほどの中~高価格帯のイチゴを生産し、百貨店を中心に販売する予定で2023年冬の出荷を目指します。初年度の売上高は1億円を見込んでいます。
イチゴは1粒数千円から数万円程度の品種が開発されるなど付加価値の高い農産物として注目されています。ケーキなどスイーツにもよく使われるためクリスマスなどの催事での需要も高く、百貨店で販売するのに適した商材です。
近鉄百貨店は店舗のほとんどを自社で所有せずに親会社の近鉄グループホールディングスから借りているため、テナント化を進めて賃料収入で稼ぐ不動産業を強みとする競合他社と比べて百貨店業に次ぐ事業が脆弱です。
そこで目をつけたのが農業ビジネスです。
生産から販売といった川上から川下までを自社で担うことで卸などを間に挟まずに高収益を確保できると見込んでいます。
今後はメロンやシャインマスカットなどの高付加価値の果物にも挑戦する方針です。