今年で裁判員裁判が始まって10年を迎えます。
「人」を裁くことの難しさを改めて突きつけられるのがNHKの番組「昔話法廷」シリーズです。
「赤ずきん」や「浦島太郎」などを題材に登場人物がある罪に問われ「裁判員裁判」が開かれるストーリーです。
心に残ったのは「アリとキリギリス」です。
働き者のアリは食べ物を準備し、冬を無事に越せましたが、キリギリスはバイオリンの演奏ばかりして餓死してしまいます。
昔話法廷では食料を分けてほしいと頼んできたキリギリスを見殺しにしたとしてアリが「保護責任者遺棄致死罪」に問われます。
離れて暮らすキリギリスの母親が二人は兄弟のように仲が良い親友で、キリギリスが川で溺れたアリを救ったこともあると証言。
一方、アリの妻も法廷に立ち、赤ん坊も含めて子供が8人いて、ひもじい思いをさせたくなかったと話します。
アリは親友と家族との板ばさみで悩み、苦渋の決断だったと胸中を吐露します。
一見、アリの判断は仕方がないと思いがちですが、その後アリの日記が発見され意外な事実が判明します。
それを見ている視聴者が自分が裁判員になったつもりで考えるという番組なので判決はありません。
よく知っている物語のイメージががらりと変わる「昔話法廷」シリーズ、NHKのホームページからも見ることができますので、興味のある方は是非。