飛び級的進化

インド政府が電子決済による「キャッシュレス(現金のない)社会」の構築を進めています。

スマートフォンやクレジットカードがなくても支払うことができる、正に飛び級的進化をインドは目指しています。

以前よりインド政府は公共サービスの電子化を進めてきました。

2009年には国民に「アーダール・ナンバー」(ヒンディ語で「基礎番号」の意味)と呼ばれる12桁の識別番号の発行を開始。氏名や年齢に加え、両手の指紋や虹彩、顔写真とともに政府のデータベースに保管し、補助金の支給などの公共サービスに利用してきました。

インドは元々戸籍がなく、正式な身分証を持たない国民も多かったのですが、地元メディアによると、すでに成人の99%が登録済といわれています。

政府は4月、アーダール・ナンバーと銀行口座を連動させた新たな電子決済をスタートさせました。

店先で番号を伝え、専用の機械に指紋をかざすと代金が銀行口座から引き落とされる仕組みで、スマホやカードがなくても支払いができるのが特徴です。

店側は指紋を読み取る機械を購入し、専用アプリをダウンロードしたスマホに接続するだけでOKという手軽さです。

お寺のお布施も電子決済できるという新旧入り乱れたカオス状態です。

これは固定電話や戸籍制度という伝統的な社会インフラが未整備だったインドで、IT技術の進化により飛び級的進化が成功するかどうかという人類の壮大な実験の瞬間ではないかと思います。