コミュニケーション能力が社会で、もてはやされています。
もちろんあった方がいいに決まっていますが、そのような能力のみに長けている人ばかりでは社会は成り立ちません。
モノを作る職人という仕事は、コミュニケーション能力よりもしっかりとモノを作る能力が要求されます。
口数が少なく、人づきあいはうまくないが、やるべき仕事はきちんとやるといったタイプが職人には多いと思います。
かつての日本はモノを作る職人や自然を相手にする農業、漁業といった職業がそれなりの人口を抱えていたのですが、だんだんと減少しています。
職人の代表格の大工さんは、かつては100万人以上いましたが、最新の統計では40万人にすぎません。
600万人を超えていた農業人口は、今や200万人を割っています。
そのような職業が急激に減少しています。
かわりに営業力や企画力、提案力が重宝され、弁が立って理屈を言える人が求められているような気がします。
それは日本の産業構造が製造業からサービス業にシフトしている事に深く関係しています。
そもそも、コミュニケーション能力とは何を指すのでしょう?
理解力か言語能力か空気を読む力か対人調和力か、深く考えるとわからなくなります。
私たちの会社の靴職人は毎日状態の違う革と対話して、力加減を調節して靴を作っています。
寡黙なコミュニケーション能力のある職人さん達です。