白か黒かの危うさ

物事をはっきりとさせるために白か黒かを決めることは日常的によく行なわれています。

しかしながら、歴史的な転換点で白黒つけることは非常に重要な意味を持ちます。

6月に行なわれた英国のEU離脱の国民投票。

英国のみならず、世界を揺るがす決断でありました。

結果は大方の予想を裏切り、離脱派の勝利でした。

興味深いことに、投票した英国国民のほとんどが 「えっ、まさか?」 という反応だったそうです。離脱派を強力に推し進めていた人でさえ、まさか勝つとは思っていなかったというのが本音のようです。

白か黒か、賛成か反対かという二者択一的な結果を導くための人々の思考はそれほど単純ではないと思われます。

「どちらかといえば賛成」 「○○という条件ならば賛成」 「反対ではないので賛成」 「意見はないが親しい人にお願いされたので賛成」 賛成や反対の理由は様々ですが、そのような理由は投票結果には関係ありません。

民主国家において民主的選挙の結果、すなわち目に見えた「民意」ほど強力な大義名分はないのですから。

二者択一的な決定の裏にある本音の部分を理解しないと、大義名分のみが独り歩きして一部の利権者に利用されてしまうことになりかねません。

白か黒かの決断には実はグレーを選びたい人が大半であるかもしれないという危うさがひそんでいるような気がします。